129節 潜入調査
年末だからか、仕事が非常に忙しいです。
本話も内容が予定の半分ほどになっております、仕事で疲れました。
「不審団体が行きかいしている地点はこの先ですか。廃墟都市と聞いていましたが、最低限の治安とライフラインは保たれているようですね」
「こう、よくアニメとかで見るスラム街って感じのを創造してたんだけどね……」
小奇麗な学生服を着た2人の少女が、人通りの少ない路地を話しながら歩いていく。
廃墟都市……それは、政府によって捨てられた町だ。そこに、犯罪者やごろつき等が住み着き治安が悪くなった事や復興資金が足りないことが原因で、今もなお放置されている。
そんな悪評を聞いていた一華と霜は、町の様子を見渡しながら目的地に向かっていた。
「大方、最低限のモラルはあるのでしょう。何処でもドンパチしていれば商売も干上がるでしょうし、元締が治安維持活動をしているのでは?」
「確かに、老朽化が進んでる建物はあるけど……壊れてるってものはないね。っと着いたよ」
スマートフォンに表示されていたアプリが役目を終えてバイブする。
旧群馬県前橋市、関東統合都市内にある有数の廃墟都市だ。9年前までには県庁所在地と言うもものの、実際には隣接している高崎市のほうが新幹線が通っていたりと影が薄い事で有名だ。
夏の間は最高気温比較に良く上げられ、前橋駅南口がニュースの背景になることが多い。
最も、現在ではニュースでよく見るような外観は吹っ飛び電車は通っておらず所々クレーターが出来ているのだが。
テレビで見ていた所とは逆の方向に進み、廃墟になった商店街から突き刺さる視線を切って小川に掛かった橋を通る。
そのまま、百貨店を通り過ぎればもうすぐだ。
既に枯れてしまったコキヤを飛び越え駐車場に足を躍らす。さび付いた看板に刻まれた文字を見て一華がポツリと声をもらした。
「ここって大学の付属病院?」
「えぇ、前橋市内にある病院の一つです。ただし、今回用があるのは研究煉なのですが」
そこは、元々群馬大学付属病院と言われていた場所だ。現在では、担当医は軒並み避難しており利用する市民は居ない。
しかし、機械生命体出現によって病院や重要施設には自家発電システムの取り付けが義務付けられており太陽光パネルによって最低限の電力は確保されていた。
そう、最低限。
視界に広がるのは、明らかに大規模な太陽光パネル。破損もせず誇りすら被っていない綺麗なそれは、近隣の廃墟を埋め尽くしていた。
「なにこれ」
「不信な集団が目撃されているようです。まぁ、それだけならよくある事ですが……大規模な改築をし住み着く住民に還元せずに縄張りを作るとは。外部の、小娘にしか見えない私達に漏らすほど気に入らなかったのでしょうね」
「さてと」
「とにかく、怪しい設備は見つかりました。あれだけの物を一刀両断する武器を作り上げる組織です……一度戻って報告をって、ちょっ一華さん!?」
連絡をしようとスマートフォンに視線を落としていた隙に、花の少女は既に玄関をくぐっていた。
気が付いた霜は、慌てて彼女の後を追う。
「ちょちょ、何を」
「調べるには、乗り込んだ方が早いでしょ」
「段取りと言うのがあるのですがっ」
「こうしている間にも機械生命体による被害が出てるから、正義の味方である私達は迅速に行動しないとダメなんだよ」
「……っ待ちなさい!――、運動能力は前衛である彼女の方が上ですか。あーもう!」
慌てて、半開きになった自動ドアを通り抜ければ既に彼女はロビーを駆け抜けていた。
このまま、私だけでも。いや、一華を放っておけば何をするのかわからない。それに、このタイミングで連絡をしたらまたぐちぐちと文句を言われてしまう。
あの先走り少女の事だ。視界外に消えようともある程度推察してこちらが動けば追いつくだろう。
腕に取り付けられた武装装備展開モジュールに手を触れれば、指には無数のリングが装着されている。
霜が軽く腕を振るえば、肉眼での視認は困難ではあるが確かに糸が放出されていた。
パチ、ポーチに入っていたペンライトを右手に持ち。何時ものビキニのような戦闘服を纏ってロビーに入る。柱や壁に所々ひび割れが見受けられるが、素人目から見て崩れそうなほどではない。
ソファーは切れ込みが入り、一部は防寒用として略奪したのだろう。クッションが無いものも見受けられた。
「エレベーターは……来ていないようですね」
頼りなく押し返されるエレベーターのスイッチから手を放す。上下階段は完全につぶれてしまっている。
他にも、一部の扉を塞ぐように瓦礫が有ったりとほぼ廃墟に等しいようだ。
唯一、障害物がない通路に向けて私は歩みを進めた。
こうやって施設を探索しているとわかったことがある。明らかに整備されている所とされていない場所がある。
いや、補強されているとかそう言うものではなく綺麗なのだ。ひび割れた建物を綺麗と言う感覚はおかしいとは思うがきちんと足の踏み場が確保されている。
人の出入りがあるのは確かのようだ。
廊下を抜けてたどり着いたのは死体を一時的に保管する安置所のようだ。
一華もいる。
私は、彼女に話しかけようと部屋に入り。
「なに、これ?」
と、つぶやいた。
目に飛び込んできた光景は異様の一言に尽きていた。
丸太を積み重ねるかのように人型の遺体が放り捨てられている。あの、鈍く独特な金属光沢をもち鎧のような外殻を持つ生物は機械生命体だ。
でも、どうして。
どうして、一様に胸が抉り取られている。まるで、山にトンネルを貫通させるかのようにそこの部分だけが綺麗に抜かれていた。
腕が無いものもある。足が無いもの、銃撃でへこんだもの。だが、唯一の共通点が不気味さを助長していた。
「一華さん、これは。貴女が」
「違うよ、私じゃない。たどりついたときからそうだった」
しゃがみ込み、詳しく調べようと死体に近づこうとした瞬間。
二人の鼓膜が可視化に揺らされる。
自然と振り向いた視線の先には……1メートルを少し超えた機械が有って。
突如、閃光と轟音と共に鉛玉の雨が降り注ぐのであった。
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