123節 装甲車は燃費が悪い
ふぅ、とりあえず小説を書くことに集中してたからまだ壁越えまでしかやってないんだよなぁ……。
まぁ……扱いずらいって話だが、最新型の武器(垂直ミサイル買ってきた)が負けるわけねぇだろォ!行くぞぉおおおおおおお!!
因みに、ルビコプターは3回ぐらいでクリアできました。デモンエクスマキナやってたから4同時攻撃には慣れたもんですよ。爆撃は飛んで引き付けたのちQBからOBでブレードですよ。
30分。それが摘出手術にかかった時間であった。
やはりと言うか、彼女の体には定期的に位置情報を発信するGPS装置と識別装置が取り付けられていた。
サイエンスフィクションに出てくるような冷凍休眠装置のような半透明な蓋内では今、機械が必死に接合をしてマソを注入しているのだろう。
「ラッシュガードか、確かにこれなら立ち入り禁止区域な遊びに来た一般人を演出できるか」
「ま、大方そう言うプレイ目的だったんでしょうけど。貴女にはそれぐらいで問題ないですわ。しかし、ご主人様がそう言った知識を知らなかったとは……海に入らないわたくしの方が詳しいんですの?」
「海ねぇし」
「まぁ、田舎民だからって。田舎民だからこそ川が怖いものだってわかってますしぃ……ねぇ?」
バタバタとラッシュガード……水着版ジャージに身を包んだタナトスは弱い満足そうにしていた。
まぁ、所々のタトゥーは隠せていないのだが。それが逆に遊びそうな女として引き立ててる。
もっとも、尺取虫のようにもぞもぞと動いているのであるが。手首を粉砕して尚且つ、足の腱を切ったのだからまともに動けないはずなのだが……?
「いや、結構痛いよ。でも、そう言うのを快楽に変換できるように出来てるからね……私の足元はびちゃびちゃさ」
「えぇ……」
「引かれると傷つくんだけど……。ほら、終わったようだ!」
カバっと、慎重に近づいて様子を見る。罠に嵌めてくることも考えていたが奇遇だったようんだ。
適当な薄手のコートを巻き付けてやってから俺は、伝えられたドアを開いた。
時刻はすでに午後5時を迎え夏のピークが過ぎた頃、世界に薄い朱色を上から重ね塗りしたかのように夕焼けに染まっていた。
ざわざわと波打ち際に水が叩きつける音と、生臭さを伴った風が背中を押し帰路を目指せと伝えてくる。
「……元に戻って来たけど、どうすんだよコレ」
「ねえ、マスター此処って茨城県なんだよね?どのくらいかかるの?」
「高速で2時間ぐらい。沿岸部は軍が駐屯してることが多いから少なくとも20キロメートルは離れないとお話にならないと思うが」
「はぇ、これ、どーするんですかぁ?」
「迎えに来てもらうしかないと思う。自体が自体だけに咲率いる元SSが駆け付けてくれるらしいけど、あと少しかかるみたいだ」
まぁ、旧群馬県から旧茨城県までは1時間40分ほどかかる。
関東統合計画において、軍事避難物流面からインフラが抜本的に見直され俺らが住んでいる田舎の田舎以外では、片側2車線が当たり前になってはいるが法律は変わっていないので到着時間は同じだ。
そう思っていると、ピロピロと電話が鳴り始める。案外、迎えは早く来たようだ。
「よし、どうやら来てくれたみたいだ。観光地だから怪しまれない場所まで動くぞ、目的地は海洋博物館だ」
「そうだね。博物館であれば大きな駐車場があるだろうし、ある程度の団体であろうと怪しまれることはない、か……流石はマスター」
「いや、俺ではなくて咲が選んだんだが……まぁいいか。ともかく、この階段したの大通りを渡るのはまずい。このまま、神社の敷地を突っ切ろう」
「まぁ、最悪この人たちをボストンバックに入れれば何とかなると思いますよぉ」
「早速お荷物かい?あぁ、少しぐらい話を聞いてくれてもいいじゃないか」
そう喚く美少女を美少女が無理やりバックに突っ込む。傭兵が主に使うボストンバックは大型でカーボンファイバーを主材として使用しながら軽量に作られており、装備品を入れることも可能だ。
スナイパーライフルを一緒に入れられるものであれば、手足を折りたたんで収める事は可能だろう。
女性陣に大荷物を持たせる男性と外から見れば思われてしまうのが嫌ではあるが、恥も外聞も生きてればどうにかなる。そもそも見た目はかわいい美少女かもしれないが、中に入っているのは豹より凶暴な生物なのだから。
後ろを振り向き、礼たちがバックを持ち上げるのを見ていると視界の端に絵馬掛が映った。きっと、細々く補修しているのだろう……擦り切れた絵馬には女の子の絵と戦車が書かれていたのだった。
「あぁ、海斗か」
「お疲れ様です咲さん。こちらを」
「お、コーヒーか?助かるな、長時間の運転はカフェインがないとやってけないんだよ」
駐車場に付けば運送に便利な普通車のバンが4台ほど停車していた。そして、先頭に佇む長い三つ編みを後ろで束ねたの長身女性……小鳥遊咲がこちらに気が付き手を軽く振っていた。
背中を車に預ける姿は様になっていて、こちらも軽く会釈をしながら事前に近くにあった自動販売機から刈って置いた缶コーヒーを手渡しで渡した。
どうやら、何かしら起こった際の予備戦力として5個分隊ほど連れてきているらしい。
「先輩、まずは荷物の調査を。これまで、散々荒らしてきた張本人……顔を拝んでおけば明利に着くと言うもの」
「彩……。それじゃあ、3号車に行こう。そちらは本来護送用だが仕切りがきっちりとしている……暴れられても対処できるだろう」
了解です。と返事をし、俺は彩さん達の後ろを付いていく。警戒のためか、複数人が囲んだ状態で全員が服の内に手を突っ込みながらファスナーを開けた。
取り出されたのは、美しい白髪の少女。所々そのきめ細かな肌が無残なタトゥーで汚されている姿からは、今までの加害者であると到底結びつくはずないのだが、きちんとこちらはHMDの映像を提出している。
だが、やはりと言うか感情的には納得できない者もいるようで。
「失礼を飲んで申し上げたいのですが、無力化するだけでしたら腕の関節を折ったりアキレス腱を切るのはやりすぎではないかと」
一人の男性が声を上げる。
言いたい事は理解できる。これは明らかにやりすぎであると。
これに関して俺は、町に出没したクマを殺すなんてかわいそうと言うのと同じ感覚を覚えたがこれも仕事。傭兵は与えられた任務をクリアするのが目的に対して、警察は人を守るのが仕事。ゴール地点の差でしかない。
これは、自分の意見をしっかりと言わなければ今後の関係がこじれると判断し。
「は、自分は万全を期すために手足を粉砕致しました。魔法と言う未知の能力や寄生体……いえ、天使の身体能力は我々人間の想像を超えており安易な拘束では無力化出来ないと判断しました」
「しかし」
「我々は殉職したとしても保険の適応外であり昇格もありません。死したとしても名誉も与えられないのです。貴方の志は個人的には非常に理解できるのですが、この場は何卒ご理解していただければ」
「佐藤、お前には少し刺激が強いかもしれないが今回はダメだ。傭兵と警察の価値観は似ているようであって違う……命を救うのが目的ではあるが五体満足でなくてもいい……自身の事が第一なのが彼らだ。それに、海斗は9年前のあの日、あの場所にいたからな。リスク管理と行動力に関しては敏感だぞ」
やはりと言うか、ここら辺の事情は咲はわかっている。
傭兵と警察、どちらの組織も市民を守る事を主眼に置かれて創設されたのであるが……営利非営利と言う違いを除外しても手段は大きく異なる。
警察は市民の保護を目的とし盾となる事で守るが、傭兵は相手を先に撃ち殺すことによって障害を無くし結果的に守るのだ。もちろん、護衛を行わないと言う意味ではないが……傭兵は激戦区に配備されることが多く、作戦中に市民が邪魔をする場合結構ぶん殴って転がすのが定番だった。
殺せば流石に問題はあるが、後遺症が出ない程度であればほぼ問題は無い。死ぬよりは安いからだ。
精華が市民を無力化したとなればそりゃ、怒るだろうが。今回は元敵だ、何か言われる筋合いはない。
何よりも自分の命が大切なのだから。
「……わかりました。止血や骨折部の固定などの治療、怠っているようには見えませんし……お時間を取らせて申し訳ございません」
「そう言う訳だ、だが……もう一つ問題がある」
「問題……ですか?」
あぁと、小さく咲が声を漏らす。
何かしら不都合な事でも起こったのだろうか?俺は訝し気ながら問いただすと。
「SS部隊が解散したのは知っているな?装備品は全て没収、それには装甲車も含まれる。つまりは、何かあった際にガソリン代補助が無くてなぁ……世知辛い」
「つまり、どういう事ですの?」
「これから、君は様々な事に巻き込まれていくだろう。周りの人もな。責任を取れと言う訳じゃない、子供だし大人を頼らず行動されても困る。だが、だが、切実に、ガソリン代は出してほしい!」
「ぉあぁ」
「因みに、この車……普通自動車に見えるがセラミック製内張りがあってな。5.56mmぐらいは余裕で耐える分車重が重くて燃費が、な。それを、4台となるとキツクテキツクテ仕方ないんだ!それもこれもあの上層部が悪い!トッチメチャルゥっ!!」
そう言えば、そうでしたね……。警察官の収入は知らない、だが特殊部隊所属で死亡する可能性がある最前線勤務。きっといい額もらっていたのだろう。
もっとも過去の事。今では、普通の給料に手当なしと悲惨な事になっているようだ。現に、国防軍に採用されている23式自動小銃ではなくAK74やM4A1など寄せ集めだ。
きっと苦労している事だろう。
「わかりました、何時も助けられていますし大丈夫ですよ。それで、どれほどでしょうか?」
「あぁ、今はレギュラー267円だ」
「ファ!?……、略奪してきた銃器で補填って出来ないでしょうか」
「全然大丈夫だぞ」
その会話を後部座席に収容されながら聞いていたタナトスは、日本人って世知辛いんだなと思っていたそうな。
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