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パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第4章 不毛に響く白鳥の歌
106/150

102節 女の子には秘密がいっぱい!

 サーモン食べたい。


2023/04/06

 一部漢字を修正

 一部描写追加

 読みやすいように句読点を追加

 キャラの設定に合うように修正

 事は7月。俺、実吹海斗みぶき かいとは妹のマイと共に夏休みを過ごしていた。

 だが、9年前に現れた化け物……機械生命体きかいせいめいたいの内の一種。人間に寄生し生きる種……寄生体の礼を山の中で拾った事で人生が狂い始めた。

 無機質で化け物のような機械生命体とは違い寄生体の外見はか弱い女の子そのもの。しかし再生能力、身体能力……そして物理法則を書き換える魔法をつかさどる彼女に目覚めのキスをされてしまう。

 寝ぼけた彼女を振り払い、何とか知り合いの頼れる大人である精華と一緒に行動をしていると機械生命体に襲われ、魔力の流れを見て干渉することが出来る魔視の魔眼を開眼し敵を撃破するのであった。

 だが、そのことでとある寄生体に目を付けられ海斗を庇うために独断専行した礼が廃墟都市に走りさる。

 そんな彼女を救うために重症を負いながらなんとか撃退に成功する。

 だが、これは今後の事件への序章であったのだ。


 その後、病院から退院すると不思議な小悪魔少女であるゆずきと警察の特殊部隊所属の咲と言う女性とであう。

 何度か行き違いで咲と戦闘になるもゆずきの協力で逃走に成功疲労が襲う。

 なんと彼女は廃墟都市で海斗を襲った寄生体だったのだ。賢者タイムになり理性を取り戻したゆずきは、新たな仲間として勝手に加入する。

 そんな所に追い打ちをかけてきたのが機械生命体襲来とロシア軍の弓使い少女ヴェロニカだった。

 彼女は自分を寄生体と知らずに人間として生きてきていたが、唯一契約出来る海斗の存在を知り暴走状態を起こしてしまう。

 それと同時期に保安庁上層部で怪しい影がちらつくのであった。

 結論。二つともどうにかしたが、次は天使の教会と言う組織が上がるのであった。


 次は生徒会長であるくさびが妹である翡翠ひすいを捜索してくれと依頼が飛び込んでくる。

 仕方が無しに捜索すれば、天使の教会の天使に襲撃され腹に蹴りを食らいながらも撃退。

 寄生体の秘密を知っているであろうという事に当たりを付けた海斗は、怪しい塾に咲たちの協力を得ながら捜索していたが、相手の罠にはまり誘拐されてしまう。

 そして、タナトスと名乗る科学者と天使の少女たちと先頭を行い頭部の出血や骨折などの重症になりながらも、ボコしボコりなんとか痛み分けで終わったのであった。


 夏休み中に3回入院と、何してんだこいつと思われる所業を果たし。寄生体の女の子に振り回され夏休みを溶かした海斗は自宅で休養していたのであった。

 が、偶然付けたテレビのアナウンサーが再び海斗に重傷を負ってこいと宣言するのであるのだ。


 ◇


「ちょっと待て、なんだそれは?いつからこの世界はニチアサか深夜アニメになったんだ?」

「これは……」

「兄、WEBニュースでってテレビで見てたのね」


 テレビによって液晶出力された映像には飛んでもない事が書いてあった。

 それは、魔法少女が誕生したという速報。……あの、魔法少女である。

 もし、この場に後ろに含んだ物が読み取れない物が聞けば言葉通りに受け取るだろうが、ここにはちょっと裏社会を知っている外れた人しかいない。

 だから、機械生命体の被害が減るという祝福の言葉や思いが湧き出てくる事はなく……どうしてや何を言ってるんだと言う感想が噴水の如く飛び出るのだ。


「魔法って機械生命体しか使えないはずだったんじゃないのか?」

「いや、正確にはドールのエンジンには使われてる」

「ドール?」

「ドールを知らないの?なら博識な妹が説明してしんぜよう……ドールは10メートルほどの人型機械で大型機械生命体を倒すために作られたもんなのさ。人型にして汎用性を上げたんだけど、マナエンジンって言う相手装甲を中和する特殊な機材が積んであるの。で、それは小型化が困難なのさ」


 そう。小型化は絶対に無理なのだ。それに、まだ発展途上の技術のため危険性もある。

 最悪、オーバーロードで爆発四散するのだ……どこかのパイロットのように死ぬほど痛いで済むようならまだしも半径12メートルが即死範囲とシャレにならん。


「小型化するには安全装置と制御装置とか色々必要だからその線は無しで考えてもいいんじゃないかな?だから、さ……私達が考えてる可能性の方が高いと思うけど」

「寄生体か。だが、胸に根付いてる寄生体のコアがあるようには見えない……どちらかと言えばよく見る変身器具のように感じるが」

「まぁ、液晶越しですしぃ。肉眼で見ればバッチリわかるんですけどぉ」

「とにかく、記者会見みたいだしきちんと聞こう。判断はそれからでも遅くはない」


 ちょちょいっと手招きして礼たちを和室にあるソファーに座らせた。

 テレビでは保安庁ほあんちょう防衛省ぼうえいしょうの大臣が長テーブルの後ろに立ち、マスコミから突き刺すように向けられたマイクへ返答をしている。


『えー、我々だけではなく。当事者の彼女達にもバトンを渡そうと思います。跳戸梨花(とぶと リカ)さん、よろしくお願いします』


 そして、左後ろには少女たち。外見的に中学生から大学生ほどではないだろうか?彼女達は、出身県や学校は無作為であろうが、何処かしらに見慣れた宝石を身に着けているとその共通点が一つの線となっていた。

 50代ほどの女性と男性が頭を下げ後ろに下がるのと同時にリカと呼ばれた少女がマイクの前に立つと同時、鬱陶しく白点滅(フラッシュ)

 時たまミルク色に染め上げる自己中が満足するまで暫く置いたあと。少女は胸を張って答えた。


『本日はお集まりいただきありがとうございます。新しく結成された魔法少女機関……ハナズオウの代表を務めさせていただきます。先ほどご紹介にあられました跳戸梨花です。本日はよろしくお願いいたします。まずはご質問の前に経緯をご説明させていただきます』


 と、年齢不相応に親切丁寧な態度で説明していく。

 外見は透き通るような消炭色にコバルトブルーのようなメッシュのショートヘア―。瞳は中に夜空でも内包しているのではないかと思うほどに、きらきらとしていた。

 服装も、容姿も、よく町で擦れ違う典型的な女子と言う印象を受けた。何処にでもいるような……ね。


『9年前の機械生命体の襲来によって我々人類は多くの生活圏を脅かされていました。化け物たちは神出鬼没で金剛不壊……私達が出来るのは相手が倒れるまで銃を撃つという脳筋戦法で対処していました。もっとも、治安が良い国と言う本来誇らしい国家ゆえに常備武装は小型リボルバーと貧弱でそれが出来るのもつい最近になってからですが』


 ……確かに、彼女達が言っている事は正しい。

 東京はほぼ瓦礫に沈み、敵を倒そうにも何処に居るのか勝手知らずで拳銃程度なら余裕で弾くそれらに対処する防衛力は日本うちにはほぼない。

 最終的に旧式の64式やもっと前、警察予備隊時代の米軍供与ライフル(M1ガーランド)をも持ち出したというのは映像も残っていて有名な話だ。

 もっとも、この体験で殉職者の弔慰金問題や装備転換問題。はたまた、弾丸の管理問題やらの騒動でごたついている間、失業者を体のいい肉盾にするPMC制度が生まれたのは置いておこう。

 とにかく様々な問題にビビってお役所仕事を決めたため、現在はPMCの方が頼りにされているのが現状だ。


『ですが、機械生命体の脅威に対抗できる技術が開発されました。それが私達魔法少女なのです……我々は機械生命体だけが使える魔法を使用することができ、容易に駆除を行える事に加え高い身体能力を所持している事から、災害派遣にも期待が出来ます』

『すみません。関東放送局の田中と言うものですが。貴女がたの年齢をお教えください……見た所未成年が混じっているように見えるのですが』

『静粛に。質問は纏めて――』

『いえ、問題ありません』


 と、ここで前列に居た記者が立ち上がり質問を名乗り出る。

 傲慢で横柄で僭越のマスメディアだからなのだろうか?或いは質問回数ノルマがあるのか、それとも耳に付けたインカムで指示がされたのか。

 ……明らかに子供である女に何か思ったのか、当事者ではない俺にはわからないが今回の無礼な態度は情報が欲しい俺達にとっては非常に好ましかった。

 カンペを見るためか少し目線だけを一瞬下に下ろし。


『はい。私の年齢は20歳……大学生です。最小が12最大が24となっています』

『なるほど、つまりは未成年を戦場に立たせるおつもりですか?ジュネーブ条約違反なのではないですか!』

『ジュネーブ条約はあくまでも軍戦争犠牲者保護のための物ですが……私達の年齢がこうも若いのは魔法少女になれる年齢が思春期前後であるからです。体内のマソが一番活発であるこの瞬間こそ肝となる道具が使えるのです』


 と、髪飾りをトンと軽く叩いたのだ。


『それが、ですか』

『はい。これこそがリザレーションです』


 そこにあったのは宝石であった。なんの変哲もないただの宝石……だが、もしここに宝石学者が居ればこんな事を口走らずにはいられない。こんなものは地球上にあるのだろうかと。

 照明が乱反射し、室内に漏れ出る光線は魔的だ。否応なく目が付く。


『故に私達は立っているのです。皆さんを守るために……』

「リザレーションね。何かの造語か?」

「とにかく、敵か味方かわからないけれど障害は増えたのは同じ。多分もう聞いても意味がないよ……データが無いから」

「そうだね。どういう感じなのか戦闘風景を見ないとわからないかな。僕が直接殴りに行くのはダメだしね」


 学校が始まる前に面倒な事になった。小さくため息を付きながらリビングに向かい、礼たちの手伝いをするのであった。


 日付は変わり明日。セットした目覚ましに手を叩きつけベッドに置いてあるスマートフォンを手探りで探し出す。

 電源を付けながら充電コードを抜きSNSを起動すれば、寝ぼけ頭に入るのは魔法少女の話題だらけだった。

 たいていは魔法少女来たー!と昔のノリを引っ提げたり考察をしていたり、存在に懐疑的なものが至りだ。


「どうなってやがる」


 あの後、精華さんから電話があり事実上SS部隊はほぼ解散状態になったらしい。

 正確には解散宣言などはないが、今後の主力として魔法少女部隊が制圧し避難指示などを担当するんだそうだ。

 上体を起き上がらせ立ち上がる。そのまま、衣服を乱雑に脱ぎ捨てタンスの中から適当に衣服を見繕い部屋から出る。


「おはよう。マスター」

「あぁ、おはよう礼」

「僕もさっき起きたばっかりなんだ。コーヒー牛乳だよね……お湯4.5割の牛乳5割で――」

「砂糖は大さじ2杯だ」

「はいはい。何時ものだね」


 階段を伝い一階に降りてくれば、パジャマを着た礼が衣服を少しはだけさせながらキッチンに立っていた。

 もう慣れた手つきでインスタントコーヒーの粉をカップに注ぐのを横目に見ながら、俺は冷蔵庫をあさる。

 うーん。まだ、人数が二倍になった消費量に慣れてないないのか結構カツカツだ。前は、余る事が多かったのに……これも単体より複数で買った方が安いからそうなるのだが。

 何々。結構余裕があるのは、卵とソーセージと適当な野菜と昨日のあまり物ご飯か……手間を考えて、スクランブルエッグとソーセージ炒めと適当野菜入りコンソメスープでいいか。

 卵とマーガリンを取り出してフライパンに火を入れる。


「そう言えば、他のみんなは寝ているのかい?」

「妹は起こさないと11時まで寝てるぞ。ゆずきは……そう言えばあんま知らないな」


 弱火でかき混ぜた卵を炒めながら視線を上に動かす。

 そう言えばゆずきの事をあまり知らないな……この家に居候するようになったのも、確か家が廃墟とか地下水道とかであるとかなんとか。

 俺が知ってるのは、あんななりと性格で昔はお嬢様学校に通うマジ者のお嬢様だったらしい、親の資金難によって虐められていたみたいで、三年前くらいに多分寄生体になったようだ。


「あいつ、結構フラフラ動いてるから多分気分で起きてくるんじゃね」 

「サバイバル生活をしていたみたいだし、襲ってみたらどうだい?」

「そりゃ、俺の貞操が襲われるね」


 ふっくらとしたスクランブルエッグにサラサラとバジルを散らせばはい完成。後は、ソーセージを軽く炒めてスープは礼がやってるか。

 もうそろそろ出来そうだな。ゆずきを呼んでくるか……。


「いただきます」

「いただきます。しかし、白米にオレンジは合うのか?」

「ん?あぁ、それはぁあれですよ。給食でも出るじゃないですか牛乳が、それと一緒ですよぉ」


 と、オレンジジュースが注がれていたカップを戻し食事を食べ始める。

 しかし、食事時はちょっとしたしぐさで何と言うかお嬢様らしいオーラを出すから苦手だ。何時もとすごいギャップを感じる。


「……?何見てるんですかぁ。もしかして……唇フェチぃ?なら、キスしましょうよ契約した時とは違って舌を絡ませる濃厚なキスを――」

「あ、お皿全部洗えよ」

「無視!?」

「ふっ」

「そして、礼は嘲笑ぉ!……小さな事でマウント取ってきやがってェ」

「はぁ、また始まったこりゃ」


 小さくため息を付き、フォークでソーセージを突き刺した。


「そう言えば銃ってゆずきは持ってなかったよな?」

「はい?まぁ、使いませんのでぇ」

「一応、持っておいてくれ」

「胸の中にって事ですか?礼並みに入れられませんけどぉ3分の1ぐらい」

「最低でも10コンテナは入ると、予備として入れておこう」


 そう言いながら、礼が居た実験施設と地下施設でパクって来た銃を指さす。

 元々は三世帯で住むことを想定されていたここは、大体6~8人家族での間取りを取られている。が、海斗の家は両親が死亡しおばあちゃんも死亡しているため、余裕で部屋が余る。

 余った空き部屋達は一つは兄妹共通の書斎となり、礼とゆずきの部屋で二つ。そして、残りは倉庫となる。

 そんな倉庫に並べられている銃の一つG36Cを持ち上げる。


「え”!?そんなデカい物をですか!いやぁ、すごく大きいです。苦しくなるかも」

「大丈夫、お前マゾだし」

「いや、あの。そういう訳ではなくてですねぇ……穴に無理やり突っ込まれるのはちょっとちがうのではないかなぁ。あ、でも銃はどちらかと言えば細い棒。つまりぃ、これは……イマラ――」

「そい!」

「ぐぇ!?ごごごごご――っ!!!」


 何か、言ってはいけない事を口に出そうとしたゆずきを俺はドンドン突っ込ませる事で黙らせる。

 スコーピオンEVO3に市場的にはあまり出回っていないAK-74U(クリンコフ)……色々持ってるんだな天使の教会。

 因みに、テロリストが持つ銃と言われればAK(カラシニコフ)が思い浮かぶ人が多い。これは、情勢が不安定な中東で多く運用されているからであり、武器管理が甘い反政府軍とか政府の横領で流れつくと言うのが真実だ。もっとも、大体はAKではなく中国製の56式自動小銃なのだが。

 故に、純粋なAKは珍しい。重要的にはAR系列が量産され安定性があるし、軍に採用されているため予備パーツも手に入れやすい。

 わざわざ西側圏でAKを使うのは珍しいのだ。

 そんな事思いながらアサルトライフルからスナイパーライフルに切り替えて突っ込んでいく。


「もが、もごごおご。はぁ……ハァ、アハぁ」

「絵面やばくないかい?」

「性の喜びを知ってる顔だ。とっとと蓋しておこ」


 はぁはぁ、と唾液をこぼしながら熱っぽい表情をするゆずき。そう言えば生粋のマゾヒズム患ってたなぁとか、首絞めてほしいとか言ってたなぁとか思い出し、けれど無視してDSR-1スナイパーライフルを入れながら礼と会話していると、ピロピロと廊下で響く電子音。これは、家電か……。

 チラリと目配せをすれば、阿吽の呼吸で立ち上がる礼。そのまま、部屋の扉を開けっぱなしで廊下へと去っていった。


「ます、海斗くん。舞ちゃんが予約した商品があるから受け取ってほしいって店舗から」

「は?ネットじゃなくて?」

「そうみたい、なんか実店舗限定特典付きらしいみたいだ」

「妹は寝てるし、叩き落したとしても2時間は寝ぼけてるしなぁ」


 はぁ、と小さくため息を付きながら立ち上がる。

 お昼ご飯前だしちょうどいいだろう。俺は、いつも使ってるポーチを肩に掛け中身を確認。財布はあるし、スマホもある。


「しゃーない。俺ちょっと行ってくる」

「そう、じゃあ僕もついていこうかな。やる事ないし」

「わたじわぁ?」

「自分で突っ込んでくれ」

「自家発電!?」


 ブックマークは新着小説で投稿されたのがわかりますし、ポイントは作者のやる気にもなります。

 また、ご意見ご感想も受け付けていますよ!

 ブックマークは上部に、ポイントはお話を読み終わり『<< 前へ次へ >>目次』の下に入力案がありますよ!

 作者の励みになりますので、よろしくお願いいたします。

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