『魔物狩り──終了』
城に帰れたのは残り時間が三十分を切った頃。城内に入ると中にいた騎士に新しい部屋に案内された。
中は何も無い大広間。まばらに椅子があるだけ部屋。
奥には、女王が座っている。
前まで行く。クロが羽を揺らして核を二つ女王の手元に出した。
「良かった……」
それを受け取ると彼女は、安堵したように優しい笑みをもらす。自分が笑っているのに気付き急いでとりつくろった。
「ご苦労様でした。椅子に座りお待ちください」
部屋には既に三組座っている。
フード組と猫女組がこちらに気付くと、それぞれめんどいフードと猫女が手を振ってくる。チョウはなんとなく振り返したが、僕は無視した。
どの組も他組とは一定の距離を保って座っているのが、誰一人信用していないという良い証拠だ。
僕達も距離を離して座ろうとしたところ、ラストの一組が慌ただしく入ってきて核を提出した。
「皆さんお疲れ様でした。これで皆さんの死は先延ばしされます」
「挨拶はどうでもいいから特典を知りたいんだけどー」
如何にも空気を読まなそうなフードの奴が手を挙げて言う。
そういえばそんな話もあったな。
六色はその質問に頷く。
「では今回は簡単に一位には特典を、最下位には罰を与えましょうか」
「……は?」
大きく納得いかなそうな声を出したのは、さっき最下位で駆け込んできた片割れ。筋肉質な肉体を強調するピッチピチな服で近付いていく。
「罰なんて聞いてねーぞ!」
「それは話していませんでしたし」
微動だにせず、淡々と言う。
「いいですか? 勘違いしないでもらいたいのですが、本来死んでいる貴方達をどうしようが私の勝手なんですよ? ですがタダ働きは仕事に自分支障が出るので、褒美を与えているまでです」
「ふっざけるなぁアァアアア!」
聞くのに耐えられなくなった筋肉は自慢の腕で襟首を掴んでそのまま持ち上げる。……持ち上げようと、した。
結果的に持ち上がることは無かった。
持ち上げるよりも先に両腕が切断される方が早かった。
綺麗な断面からは大量の血が滝のように流れ落ちる。
「がぁああ……」
「貴方達の世界より痛みは感じない身体なんでしょうが、良く耐えられますね。それに免じて無礼は許してあげます」
切り口に腕を戻すと、腕は何事もなかったかのようにくっつく。チョウの治療によく似ているが、全く違う部類の治し方だ。
「今回は説明していなかった為、楽な罰になります。次に来る時には人数も増やしてます。罰を受ける人数も増え、罰の重さも重くなりますので」
どこかで監視して、この人数では魔王に勝てないと踏んだのだろう。僕達みたいに使えない奴もいたわけだし。
「では特典と罰の付与を致します」
綺麗に響く指パッチン。
「はい。今のでトップには夢力の枠を四つに増やして、最下位には痛みが今の二倍になるのを付与しました」
呆気ないが、確かにそれは与えられたみたいだ。
トップの二人は早速「バック」の一言を告げ、数秒後に戻ってくると二人で意見を交換しているようだ。
それを見たら当然最下位にもさっき告げられた内容が適用されてるという認識で間違いないだろう。
「質問が無いなら以上で皆さんを元の世界に返しますが」
「あの」
このままだといけない。
今回はなんとかなってしまったが、次からは自分自身でどうにか勝利をもぎ取らなければいけない。
「はいはい?」
「夢力の練習とか、鍛錬をしたいんだけど」
「それに関しては、次回来た時に部屋を用意しておく予定だったので大丈夫ですよ」
それなら仕方がない。
僕は周りの視線にもそろそろ耐え切れないので、質問はこれだけにして手を下げる。
「もう質問が無さそうなので、今宵の夢は閉幕にさせていただきます。では皆さん、また死ぬ前夜にお会いしましょう」
脳に指パッチンの音が響き渡る。
何度目かの眠気に襲われて、椅子に凭れかかったままみっともなく電車内で寝る学生のように深い眠りに落ちた。