3章 錬金国家アルケミー45 -21日目・1回戦目、試合開始-
試合開始直後、見えない手を使い、魔法使いの格好をした女性とルーシェ、体格の良い戦士の男とクジャク姉、ちびっ子と2人を適当な距離に配置した。
その後すぐに、人形作成(土)を使いフィールドを4つに分断した。
それをやり終えたあと、世界記録 (人)を使い、魔法使いの爺さんを殴り飛ばした。
壁に激突した爺さんを心配して、騎士の男は駆け寄っていた。
「爺さん生きてるか?」
「全くワシじゃ無かったら死んどったわい。お前さんも死にたく無かったら早く人化をとけ」
すでに爺さんは人化を解除していた。全力を出さなければならない相手と認識されたようだ。人化を解いた彼らは角が生え、肌の色も人間とは違う色になった。
「しかし、こうも早く人化を解除させられるとはの…。お主は人族なのか?」
「正真正銘、人族だ」
あくまでも俺が出来るのは人が出来る範囲だからな。誰に何と言われようと人族=人間だ。
「俺よりも強い爺さんが吹き飛ばされた上に、人化の解除をしないとならないとは…。一筋縄ではいかんな」
「そうじゃ。それにパーティーを分断したあの壁は魔法。おそらくじゃが、人形作成の応用じゃな。しかし尋常じゃない魔力量じゃの…。魔法を喰らったらワシでも厳しいかもな。しかもさっきの攻撃は能力による物じゃろう」
「物理攻撃も魔法攻撃も見えない能力攻撃も喰らっちゃならないんだったら、どうやって闘うんだよ?」
「わしにも分からん…。それなら全力で行くまでじゃ」
爺さんは、強化魔法を自身にかけると同時に6属性(光属性以外)の攻撃魔法を打ちながら俺に突っ込んできた。しかも無詠唱で。ルーシェ曰、無詠唱で魔法を撃てる人間はかなりの腕前だそうだ。
昔よくやっていたRPGゲームで例えると、複数回行動という奴だ。魔法7回と攻撃1回の計8回は流石に多いと思うが…
「グフッ」
魔法を全部喰らい、爺さんに『見えない手+手加減』で腹に複数回攻撃した。その直後騎士の男が背後に回って攻撃してきた。
「もらった!」
そう言うと剣を振りかざしてきたが、俺には当たらなかった。そして『見えない手+手加減』で腹に一撃をお見舞いしてやった。
「剣が…消えた?…どう言う…事だ?」
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追加能力
九十九刃取り【刀剣を受け止める事ができる】level:Max
刀剣を両手で挟み、受け止める事ができるようになる。(但し、自分が刀剣の位置を認識している事)
受け止めた刀剣は自分の所有物になる。
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剣を見えない手で挟み、道具空間に引きずり込んだ。
爺さんは自分と騎士の男を回復して言った。
「わしは棄権させてもらう。奥の手を使っても勝てないとは…。そろそろ引退かの…」
そう言うと爺さんは消えた。審判の中に特定の場所へ移動させる魔法を持っている人がいた。その魔法で安全な場所に飛ばされたようだ。
「あんたは棄権するのか?」
「いや俺はまだ闘う」
騎士の男がそう言った瞬間、『見えない手+手加減』でもう一度腹に一発お見舞いした。騎士の男は回復魔法を有していない。騎士の男は気を失い倒れた。
数秒後、騎士の男は姿を消した。戦闘不能とみなされ、移動させられたようだ。
あっ、剣返してなかった…。
あとでギルドマスターにお願いして、ギルド経由で返却しといてもらうか。
他はどんな感じだろう。
状態確認を使い他の戦場を見た。
ワカとシュンペイは、人化の能力を解除させてしまったようだが、ほぼ互角の戦いをしているようだ。
2対1だし手助けしなくても大丈夫そうだ。
ルーシェの方は人化を解除させてない状態で、魔法の打ち合いをしている。彼女は能力のおかげなのか、魔力の消費量が少なくて済むようだ。こっちも今の所は助けに行かくても大丈夫そうだ。
一番心配のなさそうなクジャク姉の方を見た。彼女はまだ戦闘不能になっていないが、かなり危険な状態だった。相手はまだ人化の能力を解除していない。何故こんな事に…。
俺は壁を飛び越えてクジャク姉のところへ向かう事にした。




