3章 錬金国家アルケミー41 -19日目・平穏な1日-
朝食を食べた後、ワカとシュンペイは、大会の時に使うために依頼していた装備を引き取りに行くと行って出て行き、セレンティーレ、クジャク姉、ルーシェの3人はまた街へと出ていた。今日は服を買いに行くと言っていた。
ランクが上がったしせっかくなので、Cランクの依頼を受ける事にした。せっかくだし、報酬が一番高い依頼を受けるとしよう。
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・盗賊の殲滅
依頼主:商人ギルド
報酬:銀貨80枚
条件:Cランク以上の冒険者
最近、商人が襲われる事がしており、生き残った商人によると、盗賊が出没するそうです。盗賊の殲滅をお願いします。
盗賊は生きていても死んでいても構わないので、冒険者ギルドへと運んでください。襲われた商人が確認に向かいます。
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「おっさん、これ一人で受けさせてくれ」
「ギルドマスターって呼べ」
そう会話しながら依頼書を渡した。
「…いくらお前さんでも無茶だな。パーティで受けるのが前提だし。まぁ、俺やモーブだったら1人でも可能だが…」
「魔物を100体相手にするより簡単だろ?」
「そりゃ、そうだが…。盗賊の人数、強さ、能力、そう言った情報が全く分からない。一人で行くのはかなり危険だ」
「情報が全て得られればいいんだな?」
ギルドマスターは『しまった』という表情をしたが、気にせずに状態確認を使い、盗賊の集団を観察した。
「北の方に10キロメートル。人数は10人。強さは全員シュンペイやワカとそう変わらない。能力は消すから無し。それに死体にならない程度に闘うから問題はないはずだ」
「さらっと最後の方に2つ恐ろしい事を言ったな」
「色々と情報は手に入ったし、今度こそ受けさせてくれるよな?」
「お前さんのパーティーメンバーから、『危険そうな依頼を受けさせるな』って言われててな」
「1人でも安全に依頼をこなせる方法を考えたから、大丈夫だ」
「どんな方法だ?」
「能力に関わる事だから、詳しく言いたくないな」
「…そうか…分かった。それなら試しにやってみるといい。ただし、必ず生きて帰ってこいよ」
「それじゃ行ってきます」
俺は依頼書を受け取り、ギルドの奥にある椅子の方へと向かった。
ー30分後ー
そろそろ到着する頃だ。椅子から立ち上がり、受け付けへと向かった。
「盗賊達を運んできたぞ」
「はぁ?お前さん外へ出ず、椅子に座って休憩してただけだよな?」
「まぁ、ギルドの外へ出れば分かるさ」
おっさんは『何言ってんだ?』って顔をしていたが、気にせずに外へと出た。
外に出ると、そこには血まみれで死にかけている、如何にも盗賊の格好をした人が10人山積みになっていた。
俺の後を追って外へ出てきたギルドマスターは、目の前の状況を見てしばらく黙った。
動かずして依頼を達成した方法は至ってシンプルである。
状態確認で居場所を把握し、見えない手に手加減を加えてひたすら殴り、見えない手で運んできたのだ。
因みに顔には危害を加えていないので、余裕で依頼にある盗賊かどうか判別できる筈だ。
最大限安全な策でかつ楽な方法である。
「…商人ギルドへ行ってくるからちょっと待ってろ」
ギルドマスターは呆れながらそう言うと、雷を纏いその場から消えた。数分後、商人とともに歩いて戻ってきた。
商人に確認してもらったところ、こいつらで間違いないそうだ。
その後、城から兵士が来て盗賊達を引き取っていった。
「すまないが今度からは、お前さんが個人で依頼を受ける場合、1日1つの依頼までとさせてもらう。理由は言わなくてもわかるよな?」
受け付けで依頼達成の処理をしてもらった時、ギルドマスターからこう言われた。
今のように行動すると、短時間で動かずして複数達成できてしまう。そうなると他の冒険者達に依頼が回らなくなり、最終的には他のギルドを活動拠点にしようと、多くの冒険者達が、このギルドを去ってしまう可能性がある。
そういった事を危惧したのだろう。不満ではあるが出禁になるよりマシだと思う事にした。




