3章 錬金国家アルケミー39 -18日目・Cランク昇格試験後編-
「これより試験を開始する」
ギルドマスターが宣言した直後、ルーシェは全員に結界を張り、光の輪を作り出して攻撃した。
ギルドマスターは躱す事が出来ず光の輪に拘束された。シュンペイがそこへ、改造人間の如くキックをしようとしている。
だが、ギルドマスターは光の輪から力技で脱出し、シュンペイへ反撃しようとした。
その時にワカがギルドマスターを能力で操り、壁へと吹き飛ばしていた。
「火遁術・火炙り」
クジャク姉は、壁の方へ吹き飛んだギルドマスターに容赦なく、火を数発放った。すぐに火が消えて中から、雷を纏った姿のおっさんが出て来た。
「危うく死ぬところだった。俺の反則負けだ。こんな事なら能力を使用しないなんて言うんじゃなかった」
ギルドマスターはもう少し楽しみたかったらしい。
「そんで合格なのか?」
「あぁ、全員合格だ」
「結局、何が合格の基準だったのかわからないままだったわ」
「俺の憶測だけど、ある程度自分の力を把握して制御できているかってところだろう」
「その辺は教えられない。ギルドの規則なんでな」
おっさんは勘弁してくれって顔をしていた。
俺の言った事は大体合っているようだ。
「仮にあんたの言った通りだとしたら、あんた闘ってなかったじゃない?力が制御できてるなんて分かるのかしら?」
ルーシェはごもっともな事を言った。俺だけはセンティーレを見ていたので、試験に対しては、何もしていない。
これについても憶測だが、俺だけは闘わないことが合格の条件だった可能性がある。制御してもこの場を破壊し尽くす能力や能力値だからな。
センティーレを見ていた理由は、彼女がいる部屋の前に複数人の冒険者がいたからである。向こうに行こうと思ったが、どうやら決着がついたようだ。
彼が一瞬だけ表示され消えた。
おそらく、俺達が試験に集中できるように配慮したギルドマスターの指示で動いているのだろう。
「ギルドマスター、ありがとうございます」
「何の事だ?」
「センティーレの所に彼を向かわせた事です」
「気にするな。お前達が試験に集中できるようにと、あいつが言い出した事だ」
だいぶ気を使って貰ったようだ。今度会った時に礼をしないとな。




