3章 錬金国家アルケミー24 -15日目・護衛-
「私は一体…」
「目を覚ましましたか。貴女はゴブリンの群れに襲われて気を失っていました。私の名は、セッテ・ネコヤギと申します」
言葉遣いを変えた理由は、馬車の飾りから、この女性の身分が、それなりの地位にある事を察したからだ。状態確認で身分までは分からない。
少し気がかりなのは、それなりの地位だとしたら魔法が全く使えない事や、能力を何も持っていない事が気がかりだ。
それなりの地位にある者ならば、魔法は習っているだろうし、能力は持っているだろう。
この方の場合、極端に魔力量が低いから魔法が使えないのは分かるが、能力なしは納得がいかない。おそらく能力で見えないようにしているのだろう。
「貴方がたが助けてくださったのね…。では騎士達は…」
「残念ながら…」
「そうですか…。自己紹介がまだでしたわね。私は、エランジェルイト国の王族、センティーレ・アンセマムと申します」
確かルーシェの本当の名前は…その事を思い出した俺は彼女の方を見た。少なくとも、今の会話で王族の親類である事が分かった。
その当の本人は、クジャク姉から、白色の狐面を借りて、装備していた。
この面をつけた人間が声を発すると、いつもと違う声に聞こえる。なお、この面をつけている人間同士なら元の声に聞こえるらしい。この面を装備してたクジャク姉を、最初誰だか分からなかった理由はこの機能のせいである。
因みにあの件が解決した時に、7つ全ての狐面の呪いの部分だけを、錬金術で取っ払っておいたから、つけてもすぐに外せるようにした。何の問題ない。
「私はルーシェと申します。センティーレ…様は、何故この地に来たのですか?」
「お面をつけながら人と話すのは失礼な事だと思うのですが?」
「彼女は幼い頃に顔に大火傷を覆ったものですから…」
俺は咄嗟に嘘を言った。ルーシェがそうまでして正体を知られたくないのなら、それに協力するだけだ。
「それは申し訳ない事をお聞きしました…。私がこの地に来た理由でしたね。それは、錬金国家で行われる冒険者ギルド同士の大会を観戦するためです。私から貴方方にお願いがあるのですが…」
まぁ、このタイミングだ。十中八九、錬金国家まで護衛しろってことだろう。
「錬金国家まで護衛していただきたいのですが、よろしいでしょうか」
「まぁ報酬次第ですかね…」
「そうですね…。もし貴方がたが我が国、エランジェルイト国へ来た時、国賓としてもてなします。それでよろしいでしょうか?」
「…それならばお引き受けいたしましょう」
エランジェルイト王国に潜入しやすくなるチャンスだ。だから依頼を受けることにした。




