3章 錬金国家アルケミー21 -15日目・(初)パーティークエスト開始-
何故西門集合にしたか。
普通は群れであっても、50匹という数のゴブリンを見つけるのは大変だ。
だが、俺には状態確認がある。瞬時にゴブリンの群れの位置を把握できる。
ゴブリンの群れが50匹以上いる地点まで、西門を出て向かうのが速いからである。
「みんな揃ったな。直ぐにゴブリンの討伐に向かうぞ」
街から西に3キロ先の地点、ゴブリンの群れを発見したのでずっと見ていた。
数分前の話、その地点を数人の人間と馬が通った。その一行がゴブリンの群と接触した。戦闘になり馬とゴブリンが数体死んでいた。何とか持ちこたえているようだが、ゴブリンを統率している、ゴブリンキングがいる。
ゴブリンキングは、ゴブリンより数段強く、しかもゴブリンの数が多い。今から助けに行っても間に合うか分からないが、助けに行く事にした。
見殺しにはしたくないしな。
「とりあえず街を出たら、車に乗ってくれ。あとゴブリンキングとも闘うつもりだから覚悟しといて」
「ワイバーンよりはマシね」
「セッテの行く所ならどこでもついて行くぞ!」
「俺たちは生きて帰るのだろうか?」
「さあな…」
ワカとシュンペイは不安そうだ。まぁ、無理もない。
Dランク冒険者でゴブリンキングを狩るのは、普通は無理だからな。安定をとるなら、限りなくBランクに近いCランクのパーティ4人で狩る。
ゴブリンキング自体はワイバーンより遥かに弱いが、周りにいるゴブリンの数が多く、圧倒的に人数差で負けてしまう。
そういえば、この依頼を受けた時、ギルドマスターから「ゴブリンキングを見たら逃げろ」って言ってたな。
まぁ、当然狩って帰るんですけどね。
街の外へ出た時、道具空間から車を出した。ルーシェを除くパーティーメンバーは驚いていた。クジャク姉は刀を構えて、車に斬りかかろうとした。
ルーシェと俺でそれを止め、車の事も移動中説明するから、と言いすぐに車に乗り込ませ目的地を目指した。
移動時パーティー全員に、この車の事を含む、俺の今の能力や魔法について説明した。
ワカとシュンペイは俺に対して「1つ目の能力、チートすぎるだろ」って言ってきた。
「チートってなんだ?」とクジャク姉。
そんな彼女の問いに「不正行為って意味の言葉だけど、今の場合は『反則的な強さ』って意味で捉えるのがいいのかな」と俺は答えた。
「『人外』の間違いじゃないの?」とルーシェが言った。ワカとシュンペイはそれを聞いて笑っていた。
ルーシェは一言余計な気がする。




