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8章 錬金国家の貴族94 -女王陛下と辺境伯の倅-
辺境伯の倅が明朝に尋ねてきた。珍しい人物が来た為、謁見を許可した。
「こんな明朝に何用じゃ、辺境伯の所の倅よ」
「おはようございます。女王陛下」
そう言うと、辺境伯の倅は剣を抜いて刃をこちらに向けてきた。
「…妾の首を取って帰るつもりか?」
「いいえ。本日は、宣戦布告のみです。貴族家による反乱のね」
「この場の衛兵が動かない事、外から衛兵の増援が来ない事を考えると、其方だけでは無いな。誰か協力者がおるのじゃろ?」
そもそもトワノがこの場に来ないのもおかしい。
その時、扉の外で声が聞こえた。
「そろそろしんどいんで、早くしてもらえないですか?」
「全く、情けない。では私はこれで…」
そして堂々と扉から出て行った。
「成る程の…。敵に回したくないのが敵になったか…」
声の主は男爵だった。




