8章 錬金国家の貴族87 -魔眼-
「侯爵はモーブを認識してるみたいだな」
「どういう事だ?」
「普通は認識できない」
「僕達はしっかりと視認してるよね?」
「その辺はモーブが能力を調整して、3人に視認できるようにしてくれてるんだよ」
「何で他の人に対しても調整しないのかしら?」
「長時間やると結構疲れるし、近くの人間数人が限度なんだってさ」
「それで、侯爵は何故視認できるだ?」
「…鑑定系の能力に該当する目を持ってるみたい」
「目?あの人、魔眼を持ってるの?」
「何だそれは?」
「魔眼の話はお祖父様から聞いた事あるけど、今の時代に存在しているとは思わなかったわ」
「魔眼、魔眼…なるほど」
俺は魔眼について調べた。
「結局魔眼って何なんだ?」
「クジャク姉の為に説明すると、魔眼ってのはざっくり言うと『魔法で能力を目に移した状態』なんだ。今の時代では失われた魔法だ。…目の移植で受け継いでるみたい」
歴史書を読む限り、初代ムルチコーレ王が即位するくらいの時代、この時代に全ての魔眼は潰され、魔眼作成の魔法は消失した。
何故そうなったか、詳しい事は書かれていない。
侯爵の一族は、代々秘密裏に受け継いできたのだろう。




