8章 錬金国家の貴族78 -後見人-
1週間後、マルセロは戻ってきた。
「彼女に剣の見込みは、なかったのですか?」
「才能の塊でした」
「それにしても戻ってくるの早くないですか?」
「教える事は教えましたので」
何があったのか気になったし、伯爵様宛の手紙と書状を預かっているので話を聞きに行く事にした。
「男爵様、お久しぶりです」
「何かあったのですか?」
「実は…」
剣術を習っている期間、反逆する者からの奇襲に何度かあったりしたそうだ。
マルセロはその度に、実践形式で教えたそうな。(死線をくぐり抜けられなければならないような状況で教えるなんて、結構なスパルタだと思った)
「辺境伯様には絶対に言わないで下さい。マルセロ様との約束なので」
彼女は怯えながらそう言ってきた。
マルセロが鍛えた方法を辺境伯が知ったら、マルセロは怒られるだろう。だから口止めをしたのだと思う。
「辺境伯様から手紙を預かっております。これは女王陛下からです」
袋から手紙と書状を取り出した。
「女王陛下からの書状は、辺境伯様と男爵が、貴女の後見人になった事が書かれています」
「ありがとうございます」
彼女に後ろ盾が必要だと思い、女王陛下に相談した。この時、辺境伯も同席していた。辺境伯は親戚である事と政治的な面も加味して、後見人になったそうだ。
「もし困った事があったら女王陛下に手紙をお出し下さい」
「何故貴方ではないのですか?」
「私は国にいない時もありますので」




