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8章 錬金国家の貴族68 -交渉-
「俺はフランク。軍の大将だ。陛下不在の場合、元帥が交渉をするんだが、今は出払っている。なので交渉は俺が行う」
「錬金国家男爵、セッテ・ネコヤナギです。私の目的は…」
「部下から聞いた。足止めの方は1箇所に集めてそこを叩く作戦か何かだと理解できるが、何を交渉しようとしてるんだ?」
「交渉したい内容は2つです。1つは錬金国家の軍事部隊が到着した時、軍部は投降して下さい」
「それはできない話だ。それでもう一つは?」
「…もう1つは、元帥の率いる部隊をこの場に呼び戻してほしいのです」
「何故だ?元帥がこの場に来たら困るのは貴殿の方では?」
「確かに困ります。元帥が戻ってきた場合、私に攻撃が通らないのであれば無視して、錬金国家の軍事部隊を迎え打つ準備をするでしょうから」
「ならば何故呼び戻せと?」
「私の妻がアズモディア国の出身なので、彼女を悲しませたくないのです」
「…元帥を今すぐに呼び戻す。それまで待ってくれ」




