2章 西の大陸12 -悪用方法-
最後に補足として、魔法にも相性があることを聞いた。火は水に弱く、水は雷に弱い。雷は土に弱く、土は風に弱い。風は火に弱い。
まとめると、火>風>土>雷>水>火という事になる。光と闇はお互いに強くも弱くもある。
それを聞いた後、人形作成(土)で泥人形を作成した。魔力量を変えて何体か作成してみた。
使用魔力を増やした方が、大きく・強く・耐久力のある泥人形が作成できた。
俺はこの泥人形達に、ワイバーンの亡骸をこの場に集めるよう指示を出した。
「ゴーレムって人型にしか作れないのか?」
「そう言われてみれば、他の形のゴーレムって見た事ないわね」
「それなら作ってみますか」
移動手段が欲しかったので、車型にしてみた。
「見た事もない形ね」
「車っていう名前の乗り物をイメージして作った」
「ジャポネーグにはこんな乗り物があったの?」
「ジャポネーグでは見た事ないな…」
「それじゃ、あんたはどこでコレを見たのよ?」
前にいた世界の事を話しても信じないだろうし、今は教える時ではないと判断した。
「それは話せる時がきたら話す。とりあえず車に乗って、錬金国家の方に移動する前に…。」
「移動する前に何よ?」
「ルーシェは、とりあえず風呂に入る事と、着ているものを洗う事をした方がいいと思う」
「風呂なんてどこにあるのよ?それに何でそんな事しなくちゃならないの?」
「車の中に風呂も作るから」
俺はルーシェが作り出した水たまりを指差しながら言った。彼女の顔は真っ赤になった。
「馬鹿!変態!」
彼女に頬を思いっきりひっぱたかれた。
とりあえず、防火樹を使って家を作り、防火樹で作った車輪をつけたゴーレムを作った。
家といっても、出入り口があって、部屋が1部屋とトイレと風呂があるだけの直方体のものだ。
人形作成(土)は、樹も素材にできるようだ。
(土)って書いてあるけど気にしない事にした。気にしたらこの魔法も能力ばりに魔改造されそうだし。
「ここが出入り口で、奥にある扉の向こう側が風呂場とトイレだ」
「どうせだったら部屋を2つにして欲しかったわ」
「まだゴーレムを作るのに慣れてないから無理を言わないで欲しいな。あと、使い方だけど…」
トイレと風呂の使い方を説明した。
「排水はどうなってるの?」
「栓を抜くと地面に流れるようになってる」
「分かったわ。入ってきたり、覗いたりしないでよね」
「内側から鍵をかけられるようになってるから、その辺は心配ないぞ?もしかして一緒に入りたいのか?」
「そ、そんなわけないでしょ!変態!」
また頬を思いっきりひっぱたかれた。
俺はルーシェから出入り口の方にいるように言われた。とりあえず素直に従う事にした。
彼女が風呂から出てくるまで、やる事が無いので、暇潰しに能力を作る事にした。
そうだな、一から考えるのは面倒だから、元いた世界の諺を能力にしてみよう。そうだな、”壁に耳あり障子に目あり”ってのはどうだろうか?
いやダメだ。それだと目の方が障子限定になってしまうな。
だったら、目の方も耳と同じように壁にしてしまおう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
追加能力
壁に耳も目もあり:【壁の先の部屋を見聞きできる】Level:Max
壁に接触し聴力と視力を失う事で、壁の先の部屋の中を見聞きできる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
壁だけってのも限定的で使い勝手が悪いと思ったけど、『扉は開閉のできる壁。床・天井裏は壁』と無理矢理解釈する事で、この能力は扉や床、天井裏でも使えるようだ。
『能力曲解』の項目にそう書いてあった。
聴力と視力を失うとあるが、要は聞こえない・見えない状態なら良い。耳を塞ぎ目を瞑るれば良いみたいだ。
この能力を使えば隣の部屋を覗き見たり、音を聞いたりできる。
覗き見る…
よし、この能力を早速試してみようと思う。能力がこのタイミングで作られたって事は、覗き見ろって事だよな。たぶん。
風呂場へ行くための扉へ移動し、ゆっくりと扉にももたれかかり、手で耳を塞ぎ目を閉じた。




