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名もなき異世界奇譚  作者: Section chief
2章 西の大陸
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2章 西の大陸4 -強さの代償-

「セッテ!」



ルーシェが叫んでこちらに向かってきている。彼女は結界を張って、さっきの攻撃は効かなかったようだ。

一方俺の方は、さっきの攻撃を喰らった時に、身体中に切り傷ができて出血が酷い。俺はここで死ぬのか…

そう思っていると、ルーシェは、すぐに俺に近づき結界を張り、回復魔法をかけたようだが…



「早く回復させないと…」



だが一向に、俺は回復しない。意識が薄れていく…



「何で回復しないのよ」



彼女は泣き叫びながら何度も回復魔法をかけ続けている。

俺に魔法が効かない理由…

ああそうかこの能力(スキル)のせいか…



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

魔法無効(マジック・インバリッド):【自分が受けるあらゆる魔法を無効化する】Level:Max

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



なんで気がつかなかったんだ…。仲間からの支援魔法や回復などを、受けられないじゃないかこれじゃ。意識があるうちに改造すればまだ間に合う。そう思い最期の力を振り絞って、能力(スキル)を即座に改造した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

改造前

魔法無効マジック・インバリッド:【自分が受けるあらゆる魔法を無効化()()】Level:Max


改造後

魔法無効マジック・インバリッド:【自分が受けるあらゆる魔法を無効化()()()】Level:Max

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「やっと回復がはじまった…」



ルーシェは呟いた。

能力(スキル)の改造を終えたら、ルーシェの回復魔法が徐々に効きはじめた。

とりあえず喋れるところまで回復した。



「…ありがとう、ルーシェ」

「回復しなかったからもうダメかと思ったじゃない…」



泣きながら俺に抱き着いてきた。俺は頭を撫でた。



「今回は流石に死ぬかと思った…」

「私が未熟なばかりに回復が効かなかったから…」

「回復魔法を使うのは初めてだったのか?」

「他者に対して使うのは初めてだったのよ。だから、うまくできるかわからなかったわ」

「そうか。ルーシェの魔法が未熟だとしたら、この世界の魔法は使い物にならないな…」

「どう言う事?」

「ルーシェ魔法は最高だって事。あと、回復しなかった原因が俺の能力(せい)だってのは言っておく」

「どう言う事なの詳しく説明しなさいよ」



彼女は、褒められて照れているようだ。



「それは後でな」

「なんでよ」



ルーシェの回復魔法で全快した俺は立ち上がり、攻撃してきたものがいる方向を指差した。

その時一匹のドラゴンが飛んできて、俺たちの目の前に降り立たった。

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