2章 西の大陸4 -強さの代償-
「セッテ!」
ルーシェが叫んでこちらに向かってきている。彼女は結界を張って、さっきの攻撃は効かなかったようだ。
一方俺の方は、さっきの攻撃を喰らった時に、身体中に切り傷ができて出血が酷い。俺はここで死ぬのか…
そう思っていると、ルーシェは、すぐに俺に近づき結界を張り、回復魔法をかけたようだが…
「早く回復させないと…」
だが一向に、俺は回復しない。意識が薄れていく…
「何で回復しないのよ」
彼女は泣き叫びながら何度も回復魔法をかけ続けている。
俺に魔法が効かない理由…
ああそうかこの能力のせいか…
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・魔法無効:【自分が受けるあらゆる魔法を無効化する】Level:Max
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なんで気がつかなかったんだ…。仲間からの支援魔法や回復などを、受けられないじゃないかこれじゃ。意識があるうちに改造すればまだ間に合う。そう思い最期の力を振り絞って、能力を即座に改造した。
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改造前
・魔法無効:【自分が受けるあらゆる魔法を無効化する】Level:Max
改造後
・魔法無効:【自分が受けるあらゆる魔法を無効化できる】Level:Max
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「やっと回復がはじまった…」
ルーシェは呟いた。
能力の改造を終えたら、ルーシェの回復魔法が徐々に効きはじめた。
とりあえず喋れるところまで回復した。
「…ありがとう、ルーシェ」
「回復しなかったからもうダメかと思ったじゃない…」
泣きながら俺に抱き着いてきた。俺は頭を撫でた。
「今回は流石に死ぬかと思った…」
「私が未熟なばかりに回復が効かなかったから…」
「回復魔法を使うのは初めてだったのか?」
「他者に対して使うのは初めてだったのよ。だから、うまくできるかわからなかったわ」
「そうか。ルーシェの魔法が未熟だとしたら、この世界の魔法は使い物にならないな…」
「どう言う事?」
「ルーシェ魔法は最高だって事。あと、回復しなかった原因が俺の能力だってのは言っておく」
「どう言う事なの詳しく説明しなさいよ」
彼女は、褒められて照れているようだ。
「それは後でな」
「なんでよ」
ルーシェの回復魔法で全快した俺は立ち上がり、攻撃してきたものがいる方向を指差した。
その時一匹のドラゴンが飛んできて、俺たちの目の前に降り立たった。




