1章 ジャポネーグ国2 -幼馴染-
夕方に差し掛かった頃になった。そろそろ誰かこないかなぁーと思った時、どこからか声が聞こえた。
「おーい生きてっか?生きてたら返事しろー」
「生きてるよ、クジャク姉」
そう答えると、木の上から人が降りて来た。
彼女はクジャク・センニンショウ。
代々国主に仕える”シノビ”と呼ばれる一族の人間で、僕の幼馴染だ。
「日が暮れると視界が悪くて歩けなくなるから早く降りないと…」
「それなんだけど……」
「どうしたの?」
「悪い、俺も道に迷った。」
「え?」
「まぁ、木を切りまくりゃ助けが来るだろ」
「なんでそれを知ってるの?」
僕は盗み聞きしていて知っていたけれど、大人達は3年前の事は二度と繰り返してはならないと秘密にしていたはずなのに…
「知ってるも何も3年前にやって助かったからな」
「…………クジャク姉、木を切りまくるのはやめて…」
「なんで?」
彼女は悪びれた様子がない…
「木がなくなると、生物が住めなくなるから…」
「食料が無くなるのは困るな…」
クジャク姉の中では”生物=食料”のようだ。
「ともかく木を切るのは最後の手段で」
「わかった。腹減ったしとりあえず食料をとりに行くか」
「そうだね…」
助かる方法は、僕が考えるしかなさそうだ。




