2章 西の大陸3 -ワイバーンの群れの殲滅-
「この亡骸から牙をとってどうするのよ?」
「こうするのさ」
と俺は言い、左手に牙を持ち、右手でワイバーン群れ目掛けて牙を投げた。牙はワイバーンの群れを貫通していき、遥か彼方に飛んでいった。
「今ので5、6匹は倒せたな」
「『倒せたな』じゃないわよ。色々とおかしいでしょ⁉︎」
「どこが?」
「なんで左手に持ってるのに右手で投げてるのよ」
「左手に持ってるものと同じものを右手に増やしたからさ」
物を増やす時には
①どちらかの手で増やしたいもの掴む
②能力を使い増やす
③増えたもは、①で使ってない方の手で掴んだ状態で出現する
というルールがある。
俺は右利きだから、はじめに左手で牙を持った。
増やした瞬間投げられるように。
「そもそも、ワイバーンのいる高さに跳んで行ったり、素手で牙を抜いたり、その牙をあの高さに投げらるなんて、わけがわからないわ」
手加減と能力曲解を使って数を増やし、世界記録 (人)で身体能力を強化している。
生きるためには、能力を最大限に活用しないとな。
ー 数十分後 ー
ワイバーンの群れは数匹を残して殲滅した。
20匹ぐらいは牙を投げて倒したけど、途中から避けてくるようになった。投げた牙の速度に対応できるようになったみたいだ。
ワイバーンはこちらに突っ込んできたので、大体は蹴りを入れて、一撃で絶命させていった。
「あと数匹だし逃げようと思えば逃げられそうね」
「倒せる時に倒しといた方がいいんじゃないか?他の人が襲われたりしたら大変そうだし」
「それもそうね。あとは私がやるわ」
そう言うとルーシェは残りの数匹のワイバーンに光魔法を打ち込んだ。彼女も一撃でワイバーンを倒した。
「光魔法が得意なんだな」
「そうよ」
「しかし、さっきは逃げようとしてたのに、数が少なくなったら攻撃するとはな」
「悪い?数匹なら私1人でもどうにかなるわ。見渡す限りのワイバーンとか逃げたくもなるでしょ?」
「まぁ普通はそうなるよな」
そんな会話をし終えた後、ワイバーンを全滅させたかどうか確認するために、状態確認を使った。
そしたら、さっきよりも大きい何かがこちらに向かってきていた。
対象を大きい何かに絞って状態確認を使おうとした時、俺の体は、かまいたちのような何かに切り刻まれ宙に舞い落下した。




