1章 ジャポネーグ国25 -クジャクの旅立ち-
「今の話を聞いてもやってくれるか?今なら撤回しても咎めんぞ?」
「是非やらせて頂きとうございます」
「そうか、引き受けてくれるか」
俺は狐面を受け取りつけた。面を外す方法は後で考えるとしよう。
その後すぐに親方様は、俺を隊長とし追跡の部隊を結成した。部隊の人数は俺を含めて7人で、みな同じよに狐面をつけていた。
俺がつけている面の色は赤色だが、他のものは橙色、黄色、緑色、水色、青色、紫色とそれぞれ色が違った。
顔は分からないが、声で誰だか分かる。部隊の構成員は、セッテに好意的な者かつこの国でかなりの実力者しかいなかった。
「この国から、他の国に行く術は儂たちにはない。だから曲者をこの国に連れてきた商人達の船を使わせてもらう」
商人達の船に乗り、西の大陸へと渡らせるらしい。密貿易をしたこの商人達は、本来なら処刑される。
だが俺たちを大陸に連れて行き、西の大陸の国まで案内すれば、処刑を免れ無罪放免になる、という取引をこの商人に持ちかけた。
その取引に対し、商人達は二つ返事で承諾したらしい。誰しも自分の命が1番だからな。
次の日
船に乗る時、車輪のついた椅子に乗った父上が、数個の巻き物と二通の書状を入れた袋を、俺に渡してきた。
「父上これは?」
「我が家に伝わる奥義が書かれた巻き物だ」
「何故そのような大事な物を…」
「必ず生きてそれを俺に返しに来い。あと…」
父上は俺の耳元で小声で言った。
「何も反応せずに聞け。セッテに会ったら書状を2つとも渡せ。セッテ以外が開くと見たものが死ぬ術がかけてある。道中絶対に開こうとするな」
父上に「どういう事ですか?」と聞こうとした時、「そろそろ出発します」と商人が言ってきた。
「では達者でな…」
父上はまるで今生の別れをするようだった。
船に乗った時、商人に『何故東の大陸ではなく西の大陸に行くのか』と聞いた。
『東の大陸は戦の準備をしているとの噂があり、それを知っているあの曲者は、東には行かないだろう』と返ってきた。
根拠は無いが、俺も西へと向かうのは何となく正しいと思った。




