1章 ジャポネーグ国24 -クジャクの任務-
「あと、セッテの護衛の件だが…」
俺は護衛から外されるだろう。
彼を守れなかったばかりか、護られたのだから…。
「引き続きやってもらう」
意外な言葉に俺は驚いた。
「おそれながら、親方様。私はセッテ様を守れなかったのです。ですから、本来なら…」
「クジャク姉は何も悪くないんだから、僕の護衛をやって欲しい。僕クジャク姉じゃなきゃやだ」
「セッテに護衛を変えるって言ったら、こう言われてな」
俺は涙を流した。そして涙を流しながら言った。
「勿体なきお言葉…」と。
「この後セッテと2人で話をしたい。セッテが部屋から出たら護衛を開始して欲しい。では頼んだぞ」
その日から、俺は張りきって護衛をした。
前みたいに俺のいないところで襲われては、護衛の意味がない。それにできるなら彼とずっと一緒にいたい。
そう思い、厠・風呂・布団の中、いついかなる時も側を離れないようにした。
そうしたら、10日ほどで任を解かれた。何がいけなかったのか、俺には分からない。
それからは、他の任務がない時はいつもセッテの事を、個人的に見守っていた。
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「そういえば父上は、『俺より強い奴にしか娘はやらん!』って言ったな。それと親方様の子息との結婚の話は、破談になってはいない…。つまり俺はあいつと…」
俺は気絶している父上をとりあえず放置し、親方様の元へ行った。放置した理由は、両手両脚を骨折している父上が一緒だとどうしても遅くなってしまうからだ。
骨折だとなぜ分かったのか?
単純に骨折をした時の応急措置がされていたからだ。
「親方様!セッテが曲者を連れて、国抜けをしました」
『国抜け』。この国でこれを行なったものは国主の命により、追手が放たれ抹殺される。
「そうか…。儂の子はあいつしかおらんのにな。今回の件は流石の儂でも庇いきれん…。追手は、そうだな…クジャク、頼めるか?」
「承知致した」
俺は追手としてこの国から出て、あいつの元へ行き、あいつを殺さず、あいつと幸せな家庭を築こうと思う。あの曲者が一緒にいたらそいつだけは殺す。
「それで国抜けを行なった者を追跡する者は、この狐の面をつけ、活動する決まりになっている。
この面は、任務を遂行するまで、一度つけたら外せない。無理やり外そうとすれば呪いによって死ぬ」
世の中そんなには甘くなかった。赤色の狐の面を渡された。
「失礼ながら、親方様。何故そのような呪いがあるものを、つけるのですか?」
と俺は、親方様に聞いた。
「途中で任務を放棄させないためだ。それと、外れなくなる呪いだけでなく、この面には他者から受ける能力から身を守る効果がある」
悪い効果だけでなく、良い効果もあるみたいだな。




