1章 ジャポネーグ国20 -クジャクの処刑-
投獄されてから2週間がたった。
見張りの女はここ3日間、同じ者だった。普通はある程度の時間で交代するものだが、そう思っていると、
「出ろ」と見張りが言ってきた。
「俺は処刑されるんだな…」
「ああ、残念だが…」
「そうか…。処刑される前に教えて欲しい。あいつ…セッテは無事なのか?」
あれ以降父上は、面会に来なかったし、見張りに外の情報を聞いても教えてもらえなかった。
「…1週間前、セッテ様は目を覚ました。『僕は大丈夫。待っててねクジャク姉』と仰っていました」
「そうか…。ありがとう…」
ダメもとで聞いたが、何故か教えてもらえた。この時教えてもらえた理由は分からなかった。
牢獄の中で色々考えた結果、セッテの6人の兄を処刑される寸前に亡き者にする事にした。奴らは俺の処刑を絶対に見物に来る。
奴らに火傷を負わせたのだから、俺は火を扱う能力を持っているのだろう。それなら処刑される前に、その能力を使って再び奴らに攻撃をするだけだ。
そう結論を出してからは、能力を少しでも制御できるように、見張りの目を盗んでは練習した。
処刑場に着き、俺は木の板に貼り付けられた。セッテの6人の兄は、やはりきていた。処刑人が俺の罪状を読み上げる。
「クジャク・センニンショウ。国主の子息7名に危害を加え、殺害しようとした罪により処刑する」
「1つ訂正させてくれ」
「何だ?」
「俺はセッテには、危害を加えてた覚えはない!」
そう俺が言うと、ウノが言った。
「そんな犯罪者の言う事を信じてはいけません。私達の末弟は私達より重症の怪我を負いました」
嘘は言っていない。確かにあいつは大怪我を負った。
こいつらは自分達のした事を、俺がやったようにしたいようだ。
ウノの言葉を聞いた聴衆は、「自分の罪をなすりつけるな犯罪者!」「お前はこの国の恥さらしだ!」「こいつの一族を皆殺しにしろ!」など言い、俺に対して石を投げようとしていた。
だが、石が俺に当たることはなかった。
俺の目の前に、セッテが立っていた。




