4章 更に西へ66 -アズモディア国へ出発2-
商人ギルド地下倉庫
「荷物を引き取りにきました」
「待ってたにゃ」
婆さんとガットが倉庫の扉の前で待っていた。
「これがこの国からのリスト、こっちはアズモディア国からのリストにゃ」
「2つの国からの依頼じゃ。くれぐれもミスの無いようにな」
「分かってます」
道具空間に全て収納してゴーレムへと戻った。その後バニラの工房へと向かった。護衛の約束と依頼した品を受け取るためだ。
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バニラの工房入り口
「工房で依頼した物を受けとるから、3人は待っててくれ」
俺だけ工房の中へと入った。
「やっと来たか。依頼されてた物だ」
バニラは、赤い箱、黒い箱、白い箱を袋から取り出し俺に渡した。箱を開け、それぞれ別の鉱石が使われている指輪が入っている事を確認した。
「指輪は依頼したけど、箱は発注したっけ?」
あくまでも指輪だけ発注した。箱は後から作ろうと思っていたしな。
「箱はサービスだ」
「ありがとうございます。しかもこの指輪…」
指輪に特殊能力がつけられていた。
「お前さんにはバレバレのようだな。魔力を消費するが、それぞれのペアリング間での通信が可能だ」
今、さらっととんでもない事を言われたような気がする。
「ペアリング?」
「おっと、今のは聞かなかっことにしてくれ」
バニラは動揺したようにそう言ってきた。
この世界では一般的に男性が女性に指輪を送るだけで、結婚指輪の交換は行われない。
どうやら彼女たちは、ペアリングになるよう指輪の作製を依頼したみたいだ。
「わかりました。聞かなかった事にします。バニラさん、ありがとうございます」
俺たちは工房から出て、入り口に停めてあるゴーレムの所に来た。
「これが君のゴーレムか…」
バニラはゴーレムを観察していた。
「初めて見る形だ。しかも家のような機能まで付いているのか!?特許の申請はしているのかい?」
「一応しときました」
「他にゴーレムが作れるんだったら、是非…」
「叔父さん、そろそろ出発するよ」
「おう。すまない」
彼はもっとゴーレムについて聞きたかったようだ。




