1章 ジャポネーグ国19 -クジャクの想い-
「面会だ」
投獄された次の日、見張りの女がそう言ったてきた。
死罪が確定してる人間にも面会は許されてるんだな…。
「クジャク…本当にすまなかった」
面会人は父だった。父上は号泣していた。
「謝らなければならないのは、俺の方だ。俺のした事でセンニンショウ一族は皆死罪になる…」
「それは俺の責任だ。今回の事の発端は俺が親方様にお前の縁談について相談した事がはじまりだ…」
「どう言う事ですか?父上」
「俺はお前を男として育てた事を後悔した。伴侶を見つけ子を産み幸せになって欲しいと、親方様に相談した。そしたら親方様が、子息のうち成人しているもので、クジャクと伴侶になりたい者がいるか聞く流れになった…」
話を聞いた当時は、父を激しく恨んだ。俺にとってそんな事は幸せだとは思わない。こいつさえ余計な事を言わなければ…と。
「もうそれ以上は聞きたくない。それよりセッテの容態はどうですか?」
「まだ意識を取り戻しておらん…」
「…」
俺は親方様の息子達を死ぬ寸前まで追いやった事は後悔してない。正当防衛だし、あいつらはこの国の、いやこの世界のために死ぬべきだ。
後悔があるとすれば、護衛を任されたのにセッテを護れなかった…。
そもそも彼が暴行を受けた理由は俺のためだった。
考え方だが、俺は護衛対象に守られた事になる。
正直嬉しかった。姉と慕ってくれて、俺の為に怒ってくれて…。
俺はこの時、セッテの事が好きだと言うのを自覚した。
そしたら俺は涙を流していた。
「大丈夫か?」
「今は1人にさせて下さい…」
「分かった…」
涙を流しながら、自覚した恋を諦めたくない、まだ死にたくない、一族を見殺しにしてでも生き延びてやる、生き延びる事が不可能なら、せめて残りの時間でセッテの為に何ができないだろうか、など色々考えた。




