1章 ジャポネーグ国18 -クジャクと国主の息子達-
夕餉後、護衛対象のセッテの部屋へ行った。そしてふすまを勢いよく開けた。
「セッテ、いるか?入るぞー」
ふすまを勢いよく開けた為、セッテは驚いてこちらを見た。
「びっくりした…。クジャク姉、無事だったんだね」
「当たり前だろ。今日から俺が、お前の護衛をする事になった。よろしくな!」
「クジャク姉が護衛してくれるなら安心だ」
「だろ?そんで風呂は入ったのか?」
「まだ入ってないよ」
「それじゃ一緒に入るか?」
セッテの顔は真っ赤になった。
「お、お風呂ぐらい1人で入れるよ。クジャク姉は女の子でしょ。僕と一緒に入るのはどうかと思う」
「俺は別に気にしないが」
「僕が気にする」
セッテは顔を俺のいない方にそらした。恥ずかしがったのだろう。
「冗談だ」
「からかったの?」
彼はムッとした表情をした。
「悪かった」
風呂場まで向かう途中、セッテから聞いた。
国主の息子が風呂を利用できる時間は、酉の刻から3時間ほど決まっているらしい。
セッテの6人の兄は情報共有のため、酉の刻の終わりから1時間ほど全員一緒に入っている。その後にセッテが入るらしい。
セッテは成人していないので、参加させないようだ。
「クジャク姉、脱衣所の外で待っててね」
話している間にセッテの機嫌はなおっていた。
「分かった。何かあったら呼んでくれ」
数分後、風呂場の方から大きな声がした。
「セッテ!何すんだ!」
俺は直ぐに脱衣所を抜け、風呂場へと入った。
「どうしたセッテ⁉︎」
兄達に暴行を加えられて泣いているセッテがいた。
「ウノ様、これは一体…」
「何故あなたがこの場所にいるのです?」
「俺はセッテの護衛に任命された。この現状…何があったのか説明していただきたい」
「なるほど、いいでしょう。セッテが風呂場に入ってくるなり、私達を殴ってきた。だからやり返したまで」
「本当なのか?」
「…ウノ兄達は、クジャク姉の事を男女だの、あのゴリラ女だの悪口言ってたから、それで僕は…」
彼は悔しいという表情で泣きながら言った。
そうか、俺のために殴りかってくれたんだな。
「このクソガキが」と言い、ウノ以外の5人はセッテへの暴行を再開した。
「やめろ!」
俺が5人に攻撃を仕掛けようとした時、ウノが口を開けた。
「お前達、私が話する時ぐらい暴行はやめろ」
5人はセッテへの暴行をやめた。
「さきほど私達は父上に呼ばれて、『誰かクジャクと結婚したいものはいないか?』と聞かれた。誰もお前みたいのを嫁にもらいたくないから全員無言だった。俺たちは6人で話し合って結論を出すと言い、父上の部屋から出た」
とウノは言った。
親方様から、俺とこいつらの縁談話?何故そんな事になったんだ?
俺がそう思っていると、それぞれ順に他の5人が言った。
「それで俺たちは話し合った」
「話し合った結論ってのが」
「お前を俺たち6人の」
「共有のオモチャに」
「するって事だ」
こいつらは最低だ。俺はこいつらのこの言葉を聞いた時、親方様の息子でなければ6人を亡き者にしたいと思った。
「やめて欲しかったら着てるものを全部脱いで俺たちに奉仕しろ」
ウノはそう言うと、セッテを踏みつけた。
「……分かった。セッテを解放してくれ」
俺はそう言いながら、着ているものすべて脱いだ。そしたらウノは、セッテを俺の方に蹴り飛ばして着た。
「セッテ大丈夫か?」と言い、俺がセッテに触れようとした時、ウノに捕まった。
「はなせ!」
俺は抵抗したが、逃れる事は出来なかった。
「約束は守ってもらわないとな」
「ウノ兄さん、乱暴にやるのも悪くないと思う」
「俺は賛成だ」
「俺も賛成だ」
「そんな事より、早くやろうぜ」
そう言うと他の5人は俺に一斉に襲いかかってきた。ここで俺の記憶は途絶えている。
気がついた時には、暴行を受け続けて気を失い倒れているセッテと、重度の火傷を負ったセッテの6人の兄が風呂場の床に転がっていた。
その後、俺は服を着て直ぐに風呂場で起きた事を、親方様に報告した。
その後俺はすぐ様拘束、投獄された。
当然だ。国主の息子6人を死ぬ寸前まで追いやったのだから…。
いやセッテを守れなかったから7人だな…。




