4章 更に西へ47 -実質指名依頼だよね?-
次の日
冒険者ギルドへ合否を聞きに行ったが、ギルドマスターは不在だった。
受付にいたモーブは心配そうにしていたが、城にいる事を伝えたら安心していた。あの後、デートからのお泊りになったようだ。
「ギルドマスター不在なら仕方ないか」
「全員ギルドカードを出してくれ」
「何故ですか?」
「いいから」
モーブに促され、ギルドカードを出した。
カードを彼に渡すと、彼は奥の方へと行って数分後に戻ってきた。
「ランクの所は…変わってないわね」
「それじゃ、僕達…」
ルーシェとリリスは落ち込んだ。状態確認で全員のカードをよく見た。
カードに表記されるランクをBランクに見えるように細工されていた。
「何故、このような事を?」
「お前は何を言っているんだ?俺たちの実力が、なかったから落ちたって事だろ?」
「俺達はAランクになっている。何故カードに細工を?」
3人は、俺の顔を見て『何言ってるんだ?』って顔をした。モーブは笑いながら答えた。
「やはり君だけは欺けないか。全員合格だ。おめでとう」
不合格ならカードを預からずに、不合格である事を伝えれば良いだけの話だ。そこに違和感を感じたので、カードに何か細工をしたのでは?と思い、状態確認を使った。
モーブから詳しく話を聴くと、ギルドマスターからの指示で行ったそうだ。
Aランクだと指名依頼で国防を任されたりされる例も小国だとある。その指名依頼を断りその国を出禁になった事例もあるそうだ。(出禁だけならまだマシで、命を狙われる事もある)
今後そのような厄介ごとに巻き込まれないようにと、ギルドマスターが気を使ってくれた。
「問題にならないの?こんな事して」
「規則的には、下のランクに見せかける分には問題はないんだ。だけど、大国以外の冒険者ギルド以外では、Aランクの依頼は受けられないから注意して欲しい」
大きいところの冒険者ギルドには、偽装を見抜ける人が必ず一人はいるみたいだ。
その後、早速Aランクの依頼を受ける事にした。
「Aランクだと今はこれしかない。高ランクの依頼は、中々来ないからね」
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・洞窟探索
依頼主:錬金国家王族
報酬:金貨5枚〜
その他:人数5人以上のパーティー、又は、探索系・探知系能力保持者・魔法使い・近接攻撃ができる者を含む3人以上のパーティー
王室所有の土地である擬態生物のいる洞窟の探索を、お願いいたします。
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「いつ出された依頼なんだ?」
「どうやら、大会が終わった時期に出されてた依頼だね」
最初から王室(というより姫さま)は、俺たちにあの洞窟の調査をさせる気でいたようだ。




