4章 更に西へ46 -敗北-
別空間に移動した時、ギルドマスターは剣と盾を装備していた。
どちらも見た事がないものだった。なので状態確認で見ることにした。
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剣:雷神の剣
雷属性の効果を高める。
盾:雷神の盾
無属性以外に強い耐性がある盾。
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「その武器は…」
これ以上の情報が表示されない。やろうと思えば、作成者や所有者といった情報ですら表示できるはずなんだが…。
「姫様曰く、能力【雷神の加護】が無いと装備できないらしい。【雷神の加護】は持ってないが、俺は【雷神】の能力を持っているから装備できる。要は俺専用の装備だ。異空間に飛ばして貰わないと、あたり一帯を破壊しかねないのでな。…さて、闘おうか」
ギルドマスターは一瞬で俺の所に来た。さっきよりも更に速さが増している。
彼の速さの秘密は、雷そのものになって移動している。剣の効力で強化されているから、速さも増しているのだろう。
手加減をしたら死ぬ。そう思い全力で蹴りを入れた。だが盾で防がれた。そして、剣先から放たれた雷を受けた。かなりの広範囲・高火力の雷だった。
身体中焼けるような痛さだ。
何とか耐えたが、身体が動かない。回復を使ったが、あまり効果がない。厳密にはかなりゆっくり回復している。回復を遅延させる電気信号を俺の脳に送ってきたのだろう。
「生きてるか?」
「…何とか」
「すまない。久しぶりに装備したんで、加減が難しくてな」
「流石に死ぬかと思ったぞ。それと俺はもう戦えない」
「だそーだ。姫様、俺達を元の場所に戻してくれ」
俺たちは元の場所へと戻された。
「モーブの仇を討ってくださり、ありがとうございます」
「私はまだ生きてるから」
ギルドマスターにお礼を言うセンティーレと、つっこみを入れるモーブ。
あの時のセンティーレはやはり怒っていたようだ。
「約束じゃ、早くするのじゃ!」
姫様がギルドマスターを引っ張って外へ出ようとしていた。この場所を借りるのにデートをする約束をしたようだ。
さて、3人から何を言われるか…。
「あんた、何負けてるのよ!」
「そうだよ。僕たち頑張ったのに!」
「俺はこんな軟弱な男に惚れたのか…」
「無理でしょ!あんなのにどうやって勝てばいいんだよ!」
俺だって負けたの悔しいんだぞ。
「冗談よ」
「僕たちだって勝てないだろうし」
「次に闘ったら勝てるだろ?」
「ああ、もちろん」
対策さえしてれば何とかなるだろう。そう思いたい…。
「合否は明日伝えるから、ギルドに来い」
「早く行くのじゃ!」
姫様はギルドマスターを連れて外へ出て行った。




