1章 ジャポネーグ国 17 -センニンショウ親子と国主-
俺たちの一族は、この国の国主の護衛をしている為、城に住んでいる。
道中、俺と父上は無言だった。
城に戻り、国主に山で何があったのか報告する事となった。
「調査の結果、山の木々は魔物ではなく、何者かにより切り倒された可能性があります、親方様」
「ハオウジュ、ご苦労であった。とにかくそちの子が無事で何よりじゃ。さぞ怖い思いをしたであろう」
「勿体なきお言葉」
「しかし、山の木々を倒す不埒者がおるとは見過ごせんのう…」
「左様でございます…」
俺は無表情で2人のやりとりを聞いていた。
「それはさておき、ハオウジュの子、クジャク。お主は、儀式を終え成人となった。今日の夕餉後から儂の息子、セッテの護衛についてもらう」
俺は疑問に思った事を聞いた。
「親方様や第一子であられるウノ様の護衛ではなく、何故あいつの護衛なのです?」
「国主の息子をあいつ呼ばわりとは無礼な!我が子であっても…」
「ハオウジュ、落ち着け」
「しかし…」
「儂の命が聞けぬのか?」
「承知しました!」
親方様は咳払いをし答えた。
「その質問の答えだが、儂にはハオウジュをはじめ、優秀な者が多くおる。それに息子はセッテを除き皆成人しておるしな。自分の身は自分で守るのは当たり前であるし、奴らにはそれぞれ部下もおり護衛もしておろう。それとも何か不満でもあるのか?」
「不満などございませぬ」
「なら引き受けてくれるな?」
「ありがたき幸せ」
「そうか。クジャク、そちは退がれ。ハオウジュは、セッテを除く儂の息子全員を呼んで来い」
「「承知した」」
大方、山の木々を伐採した者を調べるために、招集するのだろう。おおごとになってしまった。俺がやった事だとバレないようにしないとな…
そう思い俺は国主の部屋をあとにした。