4章 更に西へ31 -別日に試験を受ける事になるが仕方ない-
ギルドの職員になるのに重視されるのは能力である。ランクは殆ど関係ない。それは臨時職員でも同じ事だ。
だが、実地試験を受け持つ試験官は別だ。現場で対応できる人間でなくてはならない。そのため強い事が保証されている、Aランクの冒険者が試験官につく事になる。
「街の外まで見れる規格外の能力を持つお前さんなら、条件は満たしてはいるが、それだとお前さんが試験を受けられない。本当にいいのか?」
「ああ。先にパーティー3人で受けてもらう。後日俺1人で受ける事って可能だろ?」
「受けられない事も無いが、試験内容は少し違うし、1人だとかなり厳しいぞ?」
「その辺は何とかするさ。それよりもこの能力って、そんなに凄いのか?」
「普通は目の前のモノしか鑑定できない。それだけは覚えておけ」
あまり能力の事は他言するなと警告をされているように感じた。
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〜夜、冒険者ギルドの宿〜
「というわけで、明日、Bランクの試験を受けられる事になったぞ」
この言葉にリリスは喜んでいた。その様子を見ていたルーシェがリリスに質問した。
「どうしてそんなに受けたいのよ?」
「僕がいた国では、BランクとAランクの昇格試験が受けられないんだ。だからこっちにいる間に、昇格試験を受けときたいんだ」
「アズモディアには、Aランクの職員がいないんだな」
「そうなんだよ。ギルドマスターですらBランクだから試験の実施ができないって言われたんだ」
「どうしてそんな事知ってるのよ?」
ルーシェの疑問にクジャク姉が推論をぶつけた。
「こいつの事だ。今回試験が受けらなかった理由は、ギルドの事情。今の話からおそらくAランクの職員が2人しかいないからだろう。1人は休暇中のモーブ殿だろう。それで、ギルドマスターが受付から離れられるように、おまえが受付をやるんだろ?その間に俺達3人で試験受けてこいって事だな」
「そういう事だ。だから明日は別行動になる」




