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名もなき異世界奇譚  作者: Section chief
3章 錬金国家アルケミー
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3章 錬金国家アルケミー83 -40日目・失踪した者-

「お前がいなかったら、この世界でここまで生きてこれなかった。本当にありがとう」

「大袈裟じゃないか?」

「そんな事ないぞー」



2人は酔っ払っているのか、俺に絡んできた。またこうして2人と飲めるとは思っていなかったから、正直嬉しい。



「ところで何でこの2人を助けたの?」



ルーシェが聞いてきた。まぁ、転生前の事を語りたくないので、最もらしい事を言う事にした。



「俺の先祖が2人と同じ様に、別の世界から転移してきた人間だったんだ。それで、『転移者や転生者に会ったら、助けなさい』って先祖代々伝わってきてたからかな」

「なんか嘘っぽいわね」

「ご先祖様の言葉は本当かどうか分からんが、ご先祖様が別の世界から来た人間っていう事は、本当だ。俺の一族にも伝わっている。まぁ400年ぐらい前の話だから、真偽は疑わしいがな」

「名前は何ていうの?」

「それが何故か思い出せない」

「俺もだ。それだけが記憶から抜け落ちている」



俺だけでなくクジャク姉も思い出せないらしい。ジャポネーグという国を作った人物の名前だけ。まぁ、憶えてなくても支障はないだろう。鎌倉とか室町とか江戸の幕府開いた人の名前を忘れていても日常生活には支障ないしな。



「俺から2人に聞きたい事がある」

「何?」「何のことだ?」

「俺に似ているって言っていた友人の名前を、教えて欲しい。今の状態確認(ステータス)だったら、隣国付近までなら見れるしな」

「…花鳥凉だ」



やはり転生前の俺だったか…。



状態確認(ステータス)で見れる範囲にはいないな。他の国に行った時にも、探してみるよ」



今は彼らに本当の事を言うつもりはない。正体を明かすとしても全てが終わった時にするつもりだしな。



「もし見つけたら、俺達の元に連れてきてくれ。あいつも騎士団に入団させるから」

「了解」



彼らはその友人()が失踪したと言っていた。遺体が見つかっていない。それは俺の前世の最期を知るものはいない、と言う事だ。それはそれで悲しいな…。

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