3章 錬金国家アルケミー78 -40日目・船乗り-
待ち合わせ場所の船着場に行くと老人が釣りをしていた。他には人がいないので、この人がギルドから派遣された船乗りで間違えないと思う。
「すみません、人を探しているのですが」
「おぬしが依頼を受けた者か?」
「はい、そうです」
この人が待ち合わせ相手で間違いなさそうだ。
「ワシの名は、ライーセじゃ」
「リョウ・ハナトリです。よろしくお願いします」
「今年の代表パーティーのリーダーか?」
「はい」
「そうか。それならトワノが一人だけでも寄越したのも納得じゃ」
そう言うこの爺さんのランクはSだった。ギルドカードを状態確認で見たから間違いない。能力はあるようだが、表示されなかった。
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小舟に乗りしばらくしたら、ライーセが話かけて来た。
「ワシはこの依頼を最後に現役から完全に引退しようと考えておる」
「何故ですか?」
「もう歳じゃし、余生を過ごすぐらいには財産もあるからの。それにこの国には船を操縦できる人間が少ないから、後進を育成したくてな」
状態確認で地図を見ながら話を聞いていた。不審な船がある場所までもう少しで着きそうだ。
「そろそろ目的の場所に着きます」
「目的の場所が分かるなんて、面白い能力を持っておるのじゃな」
大きな舟が見えてきた。中にいる人数は30人。殆どのやつは能力を持っていないようだ。面白そうな能力がないか探って居たら、いきなり女性の声がした。
「いきな!野郎ども!」
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写真機眼
遠くのモノを見れるようになる能力。近くのモノを拡大して見る事もできる。
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とりあえずこの能力を奪いますか。
そんな事を考えてると、ライーセが叫んだ。
「後ろから奇襲をかけるつもりじゃったが、申し訳ない。戦闘の準備をしてくれ!」
さあ、こいつの性能を試しますか。




