3章 錬金国家アルケミー69 -37日目・能力測定-
最初は、能力測定である。
能力測定では、各能力値が基準を満たしているかをチェックする。
もし基準値に満たしていなくても、それを補うだけの能力を持っていれば合格する事もある。
チェックされた事項は全て紙に書き写され、機密文書として公式的な記録として残るそうだ。
能力値や能力を見れる人材しかできない内容だから、彼女達には後で思う存分、受験生と戯れてもらう為に、休んでもらおうと考えていたが、姫様に呼ばれて俺とは別室に案内されたようだ。
案内された部屋に中年の兵士と老人の魔導師がいた。
「貴様が、依頼を受けた冒険者だな?」
「そうだ」
「俺の名前はタイラー。兵士長をやっている。こっちの爺さんはミナモートで、魔導師長をやってる。来てもらってすぐで悪いが、早速試験を開始する」
俺達は構えた。戦闘に入ると思って…。
「待ってくれ!お前達と戦う気はない!」
兵士長と名乗った中年の男は慌てていた。
「お前の強さは分かっている。俺も試合を見ていたのでな」
「では、どのような試験を?」
「能力値を見る事ができる能力についての試験だ」
「試験の内容は?」
そう尋ねると、ミナモートが話始め、タイラーは紙とペンを袋から取り出した。
「ワシとこいつの能力を書き写しなさい」
紙とペンを受け取り書いた。それを見ていたタイラーは驚いていた。
「爺さん、こいつは…」
「…おぬし、資格は持っておるのか?」
「資格?そんなのがあるんですか?」
「あるぞ。今は気にしなくて良い。いずれ話が来るだろうからの」
「それで、試験は合格したんですか?」
「十分すぎるぐらいだ」
「それとお前さん、ワシ達を見ていなかったな?」
「はい」
部屋の外からこの2人の強さを見ていて、数値を覚えていたから、この場では見ていない。
「それなら提案があるのじゃが…」
数分後、大量の紙とペンが運ばれてきた。
本来は筆記試験を受けている受験生を直視して紙に必須事項を数人で分担して書き写すそうだ。
俺の能力が、『直接見なくても見える』『1人で全ての能力値や能力が把握できる』事から、今回はこの形にしたらしい。
ガン見されてたら試験は受けにくいし、当然の配慮なのだろう。だけどコレ、1人でやる仕事量じゃないよな?俺は人間の限界で動けるから何とかなると思うけど…。
報酬を多くしてもらえたし頑張るしかない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
筆記試験の終了5分前に何とか全員分書き終わった。
書いては書類を兵士に渡してを繰り返していた。正直地獄だった。
合否は、書類を騎士団の団員が目を通してから決まるから俺の仕事はここまでだ。
一般人といっても、駆け出しの冒険者よりは強いという印象を受けた。騎士になろうとトレーニングを積んでいるのだから当たり前か。
ここで200人の受験生が150へと減った。
あの2人は基準値を大きく上回っているから、問題なく次の試験へと進めているだろう。
この国の騎士団は、兵士部隊と魔導師部隊と特殊部隊の3つの部隊で編成されています。
兵士部隊…武具の扱いに長けている者が所属。
魔導師部隊…魔術に長けている者が所属。
特殊部隊…能力が強力な者が所属。




