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名もなき異世界奇譚  作者: Section chief
3章 錬金国家アルケミー
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3章 錬金国家アルケミー63 -25日目・意地悪な試験-

ー商人ギルド受付ー



「いらっしゃいませにゃ!依頼は達成できたかにゃ?」

「こいつを売りたい」



と言い、『馬虎の鞭』4つを道具空間から取り出した。



「4つで銀貨20枚ですにゃー」

「本当はもっと高いですよね?」

「銀貨50枚…」

「銀貨101枚で。この値段で買い取ってくれなきゃ、他のところで売ってくるよ?」

「わかったにゃ。銀貨101で買い取るにゃ」


この猫の獣人、かなり足元を見てきたな。この辺り一帯で売られてる値段を調べたが、1つ金貨2枚前後の値段がついていた。

買値がこれぐらいなら、売値は金貨1枚が相場なのだろう。そう考えるとかなり損をしているが、試験をクリアするだけからかなり安く買い叩かれてもいい。だから最低限必要な分の銀貨で売ったのだ。



銀貨100枚を金貨1枚と交換してもらい、それを袋の中から取り出した100個の薬草を納品した。そして納品の証明書を受け取り、ギルドマスターの部屋へと入った。



「戻りましたー」

「随分早く戻ってきたじゃないか」

「薬草の納品はしておきました」

「ほぉ…。どんな手を使ったのじゃ?」

「普段から集めておいた物を納品しました」



婆さんが俺を見つめてきた。



「嘘はついておらんようじゃな」

「あ、それと、コレ」



と言って、納品の証明書と金貨1枚と銀貨1枚を渡した。



「条件通りに突破したのは、あんたが初めてだよ」

「どういう事ですか?」

「そもそもこの試験の内容自体クリアできる筈がない。だからこの試験は、最初から受けないか、1日考えて無理だと悟り、ワシに銀貨1枚を返せば合格だったんじゃ…。薬草の納品をした者はかつていたが、まさか本当に銀貨1枚から金貨1枚を稼いでしまうとはの…」



結構意地悪な内容だな、って思った。



「それで俺はギルドの入会試験に合格した事になるんですか?」

「かなり無茶な方法をとったものだ。まぁ商人ギルドとしては、損はしてない…といよりかなり儲けさして貰ったからの」



ギルドマスターは数秒悩んでから言った。



「一応合格じゃ。ただし、次からは無茶はせんで、無理難題だと感じたら、ワシに相談する事、いいな?」

「分かりました」

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