3章 錬金国家アルケミー59 -25日目・センティーレ視点-
冒険者ギルドから少し歩いたところから、つけられていた。
「何者かにつけられてますね…。しかも複数人…」
と、彼が言った。どうやら護衛の依頼を受けたこの冒険者は、相当優秀なようだ。それを聞いた私は、敵の位置を確認しようと振り向こうとした。
「後ろを振り向かないで。つけられてる事に気がついた素ぶりを見せないで下さい。とりあえずは、襲撃してくるまで泳がせておきます」
と小声で彼が言った。
「私は戦えないので、必ず守って下さいね?」
「わかっていますよ」
商人ギルドへ入ろうとした時に、襲撃された。
私の方を襲撃した3人は倒れていた。
彼が敵の前に一瞬にして移動し、敵の眼前で粉のようなものを巻くと、倒れたのだ。
ハナトリに向かってた2人は、1人は気絶しもう1人の方は、手のような何かに押さえつけられていた。
地面に押さえ付けている2人の前に一瞬で彼が移動し、尋問を始めた。
「目的はなんでしょうか?」
「…」
「少し痛めつけますか…」
「ま、待ってくれ、言うから待ってくれ」
「では何故です?」
「そいつが持ってる袋が欲しかったんだ」
ハナトリが持っている袋を指差した。ただの袋を欲しがる人がいるのかしら?そう思っていると、ハナトリが言った。
「モーブさん、どうやらこいつらは商人ギルド所属みたいですね」
「こいつの表情からそうみたいだな。依頼はここまでだ。こいつらの方は俺が処理しとく」
強いし頼りになる冒険者ギルドの職員の彼を、この時から強く意識するようになり始めた。




