3章 錬金国家アルケミー52 -23日目・3回戦目-
今回の対戦相手は、ここから南にある島国、『オーセ二リア国』の代表パーティーだ。
だが、相手は試合会場に現れなかった。昨日の彼らの試合は見てから帰ったので、彼らの名前も知っていた。状態確認で全員を探してみたが、少なくともこの国には居なかった。
不戦勝になったが俺は納得がいかなかった。
「4人は観客席に行って次の試合を観ていてくれ」
俺はそう言うと、ギルドマスターの元へ向かった。
「練金国家冒険者ギルドマスター・トワノと話しがしたい」
「失礼ですがあなたは?」
見張りをしている傭兵に、ギルドカードを見せた。
「失礼しました。今お呼びしますので、少々お待ち下さい」
ギルドマスターが出てきた。
「さっきの試合の事を聞きにきたんだろ?」
「そうだ。どうして対戦相手は来なかったんだ?」
「…今は話せない。あとでギルドの俺の部屋に来い。パーティー全員でな」
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ギルドマスターの部屋
「…全員で来たな」
「ああ」
「昨晩から行方不明だそうだ。このパーティーだけでなく、次の試合のもう1つのパーティーもな…」
次の試合は、ここから西の国『レックスタン』と、そこから少し南西に行ったところにある『アヒリカーラ』という国だった。
『レックスタン』のパーティーも行方をくらましているようだ。このパーティー全員の名前を状態確認を使って探してみたが、やはりこの国にはいないようだ。
それをギルドマスターに報告した。
「…お前達を棄権させようと思う」
と言ってきた。まだパーティーメンバーには話してなかったが、俺の考えを伝える事にした。
「そうしてくれるなら、話しは早い。開始からしばらくしたのち棄権しようと思ってたしな」
「何勝手な事を言ってるの?」
ルーシェが口を挟んできたが無視して続けた。
「今回の事とエランジェルイト国の事を重く思った各国は、優勝・準優勝したパーティーにエランジェルイト国で起きた事と、今回の失踪したパーティーの調査させるのが見えてる。棄権すればそれを断る口実は作りやすいだろ?まぁ、俺たちやギルドマスター、このギルドがなんて言われるか分からないけどな」
「…おまえさんには敵わんな」
ルーシェにギルドに結界を張ってもらい、俺は寝ずに見張った。襲って来ないと思うが、一応安全の為に。それは杞憂に終わった。




