序章 冥界的な場所と強制転生
「ここは…何処だ?」
目覚めると俺は見知らぬ場所にいた。
辺りを見渡したが、大きな丸いテーブルとテーブルの周りに椅子が7つ置いてある以外に他には何もない。窓も扉もない。
俺は部屋で寝ていたはずだ…。それにどうやってここに来たのだろう?そう思った時だった。
『お前は死んだ』
と何処からかともなく声が聞こえた。
えっ?俺が死んだ?寝ただけなのに?分からないことが多すぎる…。今俺が置かれている状況を知るのはこいつだけだ。とりあえず会話をする事にしよう。
「俺は、花鳥 凉。まずはあんたが誰なのか教えて欲しい」
『この世界の神とだけ言っておこう』
「この世界の神?」
『そうだ…』
胡散臭いとしか言いようがない。俺はこいつを自称神と心の中で呼ぶ事に決めた。
「それで俺は何で死んだんだ?」
『死因までは知らん。死んだらお前が今いる場所に着く』
なるほど、死んだらたどり着く場所にいるから死んだ、理屈としては間違ってない。
「死んだ事は理解した。とりあえずここから出る方法を教えて欲しい」
『そこから出る方法は、お前が居た世界とは別の世界へ転生するしかない。といってもお前の肉体は消滅しているから、魂のみ転生して生きる事になるがな…』
「要は俺の記憶を持った別人に生まれ変わると…」
『大体そんなとこだ』
「転生しない事を選んだ場合どうなる?」
ふと疑問に思った。元居た世界で読んだ異世界転生する小説は拒む事は無い。俺が知る限りでは。拒んだら物語が進まないから当然か。
『………………………………』
「どうなるか分からないのか?」
『………魂が消滅するまでその場にいるだけだ』
「それなら魂が消滅するまで待つとしよう」
俺が物語を進めないようにした理由はある。
転生しない場合について聞いた時、直ぐに答えなかった。俺が転生しないと自称神にとっては都合が悪いように思える。
この自称神はやはり胡散臭い。俺が転生する事で、自称神に都合の良い何かがある。それだったら転生しない方が安全だ。
とりあえず寝転がろうと思った。その時である。
『困る。それは非常に困る』
自称神はそう言うと、俺は消えかかっていた。
「何をs」
『さあ転生するが良い』
何をしたのか聞こうとしたが、その前に消されてしまった。