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第二話:【商会ギルドと祖父の店】

祖父の手紙の受け取った後、同封されていた地図を頼りに、魔法都市マーゴ・ジュラーレに到着したのが三日後の事だった。

それまでの間、何かあるといけないと思い、数日分の着替えと食事とお金を揃える準備があったので、実際は二日程度移動に距離がかかった。

マーゴ・ジュラーレは世界の冒険者は必ず一度はここで装備を揃えるであろうと言われるほど、多くの人種が街を闊歩している。大きな獣の耳をしているウルフ族や森に生息しているエルフ。数え切れないほど人並みで溢れている。

ノブレスは地図に書かれていた、商会ギルドへ向かう。

魔法都市などといった都市では商売をするには必ず商会ギルドで商会ギルドカードを取得する事が定められている。祖父も錬金術屋として働いていたのだから必ずもっているはずである。

いくら祖父が経営していたとはいえ、亡くなってすぐにお店の中に無断で入るわけにはいかないだろう。商会ギルドの管理下になっているはずである。


手紙の文末にはその為に商会ギルドの建物に赤く()()()()()()()()()と書かれていたのだろう。


街の大通りにある鋼鉄で建てられた巨大な商会ギルドへ入る。

いかにも商人風な男女が入れ代わり立ち代わりで混み合う。人が通り過ぎる度に色んな甘露の様な甘い匂いや香辛料等といったスパイシーな匂いが混ざり合う。それがノブレスの頭にガツンと響く。


なかなか眠れなかったからだろうか。疲れがとれなかったからかな・・。


とりあえず、受付に行かないと。


ノブレスは人混みをかき分け、受付の髪を後ろで縛ったエルフの女性に声を掛ける。


「すみません。ダイスケ・ロマーニュの孫、ノブレスなんですが・・。」


きちんと挨拶を向けながら祖父の手紙を差し出す。


エルフの女性はハッと目を見開くと顔を下に向け、澄んだ青い瞳でこちらを強く見つめる。


「この度はダイスケ様のご冥福をお祈りします。ノブレス様。今回ダイスケ様から伝言を預かっております。少々お待ちいただけますか?」


ノブレスに伝えると奥の扉へ入っていく。

優しい声に悲しそうな顔をして悲しんでくれている女性を見ていると、私まで涙がでそうになる。

でも悲しんでいられない。祖父は私に何を伝えたかったのだろう?


受付で待機しているとさきほどの女性ともう一人。

青髪で精悍な顔立ちをした青年が私に声を掛ける。私よりも一〇歳ほど年上に見える。


「ノブレス様。今回はダイスケ様におかれましては、誠に残念でございます。」


深々と私に頭を下げる。

私もつられて頭を下げた。


「今回ダイスケ様からこちらを預かっております。」


と、青年が二枚の紙と一本の鍵を私に託す。

紙には土地権利書と同意書と書かれていた。


「こ・・これって・・?」


「ここで説明するよりも、ダイスケさまのお店に行ってからでもよろしいでしょうか?今、お時間大丈夫ですか?」


と青年が言う。

私はコクリと頷くと、その青年に連れられ祖父のお店へと歩いて行くのだった。


そこから五分ほど歩くと都市から少し離れた裏通りに着いた。周りの人波も落ち着き、のんびりと時間が過ぎているように感じる。

人混みに疲れていた私は多少気を落ち着かせることに気づいた。

私の右前で周囲に説明をしてくれている青年はリカルドと言うそうだ。

元気のなかった私に祖父の話を色々と楽しそうに話してくれる所をみると祖父が周りから愛されていたのがわかる。

私には関係ないんだろうけれど、それでも少し心が温かくなった。


「ここがダイスケ様のお店でございます。」


リカルドが目の前の家に指を差す。

木製のお店で、お店の前からガラスのショーケースに沢山の錬金したポーションが陳列されているのがわかる。ノブレスは小走りにお店に近づき、中に書かれていた錬金物に目をむける。


「わぁ・・・すごい・・。」


思わず声がもれる。

私も作ったことのある怪我を治す為の治癒ポーションや、まだ見たことのない気付けポーションがある。

見ているだけで心が踊る。住んでいた家では生息していない薬草から作っているものも多く在るからだろう。


「ふふふ。その様子だと本当にダイスケ様が言う通り、錬金術に関心をお持ちなんですね。」


目を細めながら私に視線をむける。

それに気づいた私はすごく恥ずかしかった。


「ご、ごめんなさい!錬金をしながらお店をもつのが私の夢だったので・・。」


そう言いながら私はリカルドのそばに戻る。


「素敵な夢でいいと思います。それでは中に入りましょうか。ちょっと待っててください。」


と言いながら小さなポーチから鍵を取るとお店の鍵穴へ差し込む。

てっきり私が持っているこの鍵がお店の鍵だと思ったのだけれど、違ったのかな・・?


カチャリと音がなると扉が開く。

私はリカルドに促されるようにお店の中に入っていくのだった。

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