プロローグと毛生え薬。
ファンタジーな世界で生きる少女、ノブレス。
彼女に降りかかる特殊な能力とは・・・?
カルシュバーン魔法学校は6年制であり、知識と技術を養う為に魔法協会から寄付を経て設立されている。
数百年以上前から在るそれは魔法を学ぶ上で必要不可欠な学び舎なのである。
私には関係ないけどね。
見るからにその学校の生徒であろう人々が入る教室を横目で見ながら、目的のモノを渡す為に校長室へ急ぐ。
校長室へ着くと、気配に気づいたのか魔法なのか自動で扉が開く。
「おぉ、ノブレス君かね。待っておったぞ。」
小太りで口髭を蓄えた優しそうな風貌の老人が私に声を掛ける。
いかにも魔法使いであろう全身に紺色のローブを着ている老人はそそくさと手に持った棒を振り、ソファを自分の手前へと移動させる。
「あ、先生。大丈夫ですよ。いつもの薬置いておきますね。」
手持ちの袋から放送された巾着を取り出す。
私が調合したポーションで、祖父から伝授された立派な毛生え薬である。
「フォフォフォ。いつも悪いのう。これが本当に効果があるんじゃ。」
最近新しく生えかけてきた頭の産毛を触りながら恍惚そうに笑いながら受け取る。
私はその頭よりも上に更に気になることがあるのだけれど、それは伝えない。
祖父は錬金術に長けていた。その祖父が亡くなった際に、私宛に手紙が送られてきた。
そこには、私も錬金術の勉強をしていたのを見込んで錬金術屋として来て欲しい。とのことだった。
そこでまた色々とあったんだけど、とりあえず置いといて、今日のお仕事はこれで終わり。
祖父の商売相手である校長に挨拶を終え、帰路に着く。
校長は私と会う度に大変喜んでくれる。祖父とは仲良かったのか私にも気さくに話しかけてくれる。
そしてそれも頭の上にあるそれを見れば分かる。
ん?それって何かって?なんて言えばいいのかな。
転生者だった祖父が話してくれた恋愛ゲームってやつに似てるみたい。
話す度にその人の上にあるゲージが上がれば上がるほど相手に好意を抱いているんだって。
馬鹿らしいとは思うけど実際に目に見えているんだから信じるしかない。
私の友達で試したから間違えはないと思う。
いつ見てもそのゲージはあの日から消えることは無いし、私も意外と気に入っている。
だって、相手の本心が少し見れるのってすごく素敵だと思わない?もちろん怖い事もあるけれど、
魔法使いでもわからないただの錬金術の見習いの私がこんな最高の魔法?を取得できただけでも祖父に感謝しないといけないと思う。
そんな毎日を私。過ごしてます。