幼馴染男子「パンツ見せて」幼馴染女子「うん、いいよ……」
ガシャーーーーンッ
気をつけよう。止まれを無視。
これから高校生活が始まろうというのに、自転車でスピードを出しすぎ。
曲がり角で女の子ではなく、車とぶつかり、体も自転車も、意識すらも飛んでしまう。
『おや、可哀想に』
そんな男子を発見した神様は、気まぐれにも能力を一つ。あげるのであった。
◇ ◇
「困ったんだよ、灯ちゃん」
「珍しいわね。あたし1人に頼むなんて、あんたが」
ここはとある喫茶店。普段はぼちぼちの客と珍妙な連中が集まる場。しかし、今日はしっかりと臨時休業の張り紙を入り口につけ、店主のアシズムは1人の女子大生、金髪の細目の格闘女子、山本灯を呼んだ。
「この子にあげた能力、ちょっと取り戻して来てくれない?」
「神様の趣味って変ね。勝手にあげたり、取り上げたり。取り上げるのは私とか広嶋、藤砂ね」
「まー、そー言わず」
店主は神様。普通はお客様が神様だろ?そんなやり取りはないか。
アシズムが特別であるように山本灯も普通の人間ではない。見た目からは想像もつかない”超人”である。加えて、戦闘狂の1人。
「どんな能力。歯応えあるんでしょうね?」
戦うことに飢えている。
彼女の拳は鉄をも軽々と砕く。そんな強い灯に、アシズムは
「あーっ。その。なんで灯ちゃんを呼んだかっていうと。広嶋くんや藤砂くんだと弄られるっていうか、なんか悪いというか。私の印象が……」
「は?」
「ミムラちゃんやのんちゃん、裏切ちゃんにはちょっとねー。私の印象が……」
「消去法ってわけ?」
「……たぶん、君も後者側だと思うけど。うん、マシかなって」
能力をあげてしまった男子と、戦わせるために灯を選んだわけではないのだ。
灯はこーいう依頼を受ける時、アシズムから能力の概要を聞く事はない。なぜなら、能力を知っていると戦う愉しみが減ってしまうからだ。そーいうバトルこそ、胸躍る。
しかし、アシズムの言い方からして。胸が躍るものではないと察する。
「どんな能力をあげたの」
「…………秘密にしてよ」
「神様のあんたに秘密なんかできないでしょ?」
とある男子生徒
スタイル:魔術
スタイル名:脱衣
スタイル詳細:
能力者が対象者に、『~~~を脱いで』あるいは『~~~まで脱いで』などと要求することで発動する。前者は、対象者がその衣類を脱ぎ捨ててしまう。後者は、対象者がその衣類になるまで脱いでしまう。抵抗をしても、20秒後には強制的に前者と後者の条件が満たされ、衣類が強制排除される。
脱がせられる衣類は一番上に着ている物からしか脱がせず、一枚一枚脱がされる。また、ブラとパンツは脱がせられない(靴下やニーソは可)。その下に衣類を身に付けていない場合、能力は無効化される。
この”脱衣”の能力が、男子生徒の手に渡ってしまったのだ……!
「直球、言って良い」
「うん」
「アシズム。なんでこんな能力を持っていて、思春期真っ只中の男子にあげちゃうわけ?やばくない?」
全く持って
「反論できません…………」
「どーいう経緯かは聞かないけど。こんなもん、野放しにしたら女性は大混乱よ」
「いや、経緯を聞いてよ!私だってビックリしたんだよ。心肺停止にまで追い込まれた高校生がさ、幼馴染のパンツを見たい!そんな能力が欲しいんだ!!……って、死ぬ間際にそんな執念を出すの?高校生って。ビックリしたもん」
「あげちゃうあんたも、どーかしてる。男子の思春期舐めんな。人はそこで一気に成長するのよ」
はぁーって、深い溜め息を出す灯。
まったく戦闘の気配がない犯罪者狩りには、モチベーションもダウンである。
とはいえ、アシズムからしたら。神様的な威厳として、能力はあげても、発動前に回収して、問題がないようにしたかった。
「灯ちゃん。頼むよ!」
「嫌よ。っていうか、ミムラ達に頼みたくないのって、断られると思ったからでしょ。まー、ミムラは良いとか言うかもね。超暑がりだし」
「でもさ。広嶋くんと藤砂くんい頼んだら、断られるじゃないか!何してるのお前って」
「いつもの事じゃない。でも、確かにあいつ等はこればかりは呆れるわね。でも、あたしもパンツまで見せたくないんだけど?」
「その前にやっつければいいし。別に灯ちゃんは綺麗じゃないでしょ?」
「おい……」
「冗談冗談、怖い顔しないで。でも、なんかない?うまーく、能力を使わせない手!封印させる手!それでも良い!ハッキリ言って、能力を身に付けても、そんなことを女性に言う男子がどこにいるという?」
「能力をあげた男子でしょ。……ともかく、そうね。分かった。ちょっと、協力しなさい」
◇ ◇
後日。学校の、誰もいない教室に。男子生徒はいた。
「ふぅ……ふぅ……」
神様らしき存在から得た、この”脱衣”の力で。幼馴染の、下着姿を。その先までいってやる。強制的な能力なんだ。拒否はできない。
「話しってなに?」
「!あ、あの……」
こ、こんなこと。女子の目の前で言えば、高校生活の全てが終わるだろうが。一瞬という時に男は飛び込むものだ。
「パンツ見せてください!」
”脱衣”の能力!発動!!
これでパンツ姿の君を拝める……。辱める君か。抵抗する君か。どちらでも……俺は後悔しない!
「ごめん。私っていつもノーパンなの」
「へあぁっ!!?」
こうして、”脱衣”の能力は身につけてはいるが、永久に発動させる事はなかったという。男子生徒も神様の存在など、嘘なんだと思い立ったとさ。
「めでたしめでたしね。過去改変、ご苦労様」
『君の解決方法って、女性らしくないワイルドさだね。女子のメンタルとこれからが心配だ』




