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【プロローグ】
第1話〜第4話まで、一気にUPです。
楽しんでいただければ、嬉しいです。
楽しい事なんて、何も無いと思ってた。
明日が待ち遠しいなんて、思ったことも無かった。
ただ、毎日同じような出来事と同じような台詞の繰り返しで、それらに機械的に応えて行くだけの自分には、心など最早存在していないんじゃないかとさえ思っていた。
時折、何かの切っ掛けで心の奥の方で『ナニカ』の蠢く音がしても、気のせいだと自分に言い聞かせた。
そうすれば、また、いつもと変わらぬ機械的な日々に溶け込む事が出来たから。そうすれば、もう、何も考える必要なんてなかったから。
諦める事は簡単だけれど、最初から期待なんてしない方がもっと楽だって気付いたのは、いつだっただろう。
期待なんてしなければ、傷つく事もない。
期待なんてしなければ、諦める必要もない。
期待なんてしなければ――期待なんてしなければ、私は『いつもの私』で居られる――。