中学校入学
4月初旬、桜が舞い春の訪れを感じる今日この頃、鹿児島県の始進中学校では入学式が行われていた。
「叶ちゃん。おはよう」
「あ、青空ちゃん。おはようー」
本日、この始進中へ入学する青空と叶が校舎前にて合流し、挨拶を交わしていた。
2人は紺色のブレザーに胸元には赤いリボンと可愛らしい制服を身に纏って、まだまだ、あどけなさは残るがすっかり中学生らしい格好をしていた。
「そういえば太陽君は、まだ来てないのかな?」
「どうだろうか?」
しばらく談笑していた2人であったが、もう1人の幼馴染みの姿が見つからず辺りを見回していた。
「おいおい。あいつ、何してるんだよ?」
すると、突然、辺りがざわつき始める。
「……太陽君、こんな入学式の日に目立つ様な真似はしないよね?」
「……まさか、あの馬鹿でも初日ぐらいは大人しくしてるはず」
2人は周囲の視線を辿って、校門の方へ視線を移すと、そこには見覚えのある肌黒馬鹿が校門の塀を登って腕を組み仁王立ちしていた。
「はーっはっは! 今日から、この俺様の伝説が幕を開けるのだ!」
太陽は周囲の視線など気にも留めずに馬鹿でかい声で宣言していた。
「……」
青空と叶は自分たちの予想より遥か上を行く太陽の馬鹿さ加減を目の当たりにし、言葉を失っていた。