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サルノテ  作者: アリアリア
第三冊 『みーこちゃんの物語』
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調理中?

 さてさて無意味に広くて、掃除が非常に大変なダイニングルームにて、私とみーこちゃんは待っております。嬉しくもないトラルの料理を、楽しそうにみーこちゃんは。長いなが~いテーブルの端と端にちょこ~んと。重厚感漂う椅子は無駄以外の何物でもありません。私は座れればいい派なんですよ? ちなみにみーこちゃんは小さいのでクッションと、座布団でかさましかさまししております。足をパタパタしているさまは大変、愛くるしいと思います。


あ、トラルはここにはいませんよ。恐ろしいことにワクワクウキウキしながら、調理場にまっすぐ向かいました。みーこちゃんのウサギさんのリュックを、私の部屋に置きに行ってる間にです。私結構必死に、お願いしたんですよ? 自分の分は自分で作ると。みーこちゃんの分は、まともに作ると思いますから。なのになのに、トラルは私にこう言ったんです。


「大丈夫、安心して。ちゃんと美味しいものを作るから!」


 安心できると思いますか、安心できないと思いません? 私は安心できません。ここに百人の観客がいたら、きっと同じ気持ちだと思うんです。何かしこんでくるはずです。なにもないわけがありません。ハンバーグだと思ったら大豆だったり、ステーキだと思ったら大豆だったり、唐揚げだと思ったら大豆だったりするに違いありません。何ですか、私が太ってるとでも言うんですか? 無駄に美味しいんですよ、こんちくしょうッ! ……失礼しました、汚い言葉を使ってしまいましたね。いえ、低カロリー食は非情にありがたいと思いますよ。


私だって、その……、女性の一端ではあると思いますので、体重計はなかなかの難敵であると認識しております。太らない体質とか言う方は結局食べてないんですよ。経験則です、絶対則です。『食べれば太る』真理です。散々高カロリー料理を食べさせ続けた後の、あの仕打ちだけは私は忘れません。しかもしかもですよ! 高カロリーの時は全部とっても美味しかったんです。なのに低カロリーの時だけ、たまにまずくするんです! 『まずい』んじゃないですよ? わざと『まずく』するんです。


 あるときは有るときは本物と見紛うばかりのハンバーグに、あるときは見た目は完璧ステーキで、中身はパサパサ大豆粉でした。とどめの唐揚げは、大豆をふんだんに使用して、何故かささみを再現しておりました。味付けだって塩コショウで良いんですよ、贅沢なんて言いません。わさびにタバスコ、チリソースなんて私は望みません! 私は辛いのが苦手です。大事なことなのでもう一度、『私は辛いのが苦手です』。あ、ステーキはたしかにおいしかったですけど、勝率で言えば一勝二敗。通算成績はぼろぼろです。せめて辛くないものが出ると良いなぁと、過去を思いあきらめの境地に至る私に、可愛らしい女の子の声が届きました。


「お姉ちゃんはずぅ~っとここに住んでるの?」

「はい? ああ、そうですよ。ずっとここに住んでいます」


 パタパタ足をピタッと止めて、頭と体を机にペタ~、両手を伸ばしながらみーこちゃんは退屈そうです。ああ、そういえばトラルがいなくなってからほとんど喋ってませんでしたね。内心それどころじゃなかったのもありますが、じぃっとしてるのは退屈ですよね。それではここからは会話の花を咲かせましょう。トラルが来るまで、まだまだ時間はあるでしょうから。


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