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サルノテ  作者: アリアリア
第一冊 『朝陽ちゃんの物語』
12/95

ねこ喧嘩



 朝目覚め、時計を見つめカレンダーを把握する、そのあと跳ねるように飛び起きて、服も着替えずパジョマのままで妹の部屋に突撃だ、ノックもせずに扉を開き、着替えようとしている妹に、私を見つめて目を丸くしている妹に、私は渾身の思いをぶつけよう。


「夕陽、なんて大っ嫌いッッッ!!!!」

「へ、は、はぁ……?」


「嫌い嫌い大っ嫌いッッ!! 何よ何よ、いつも私は可愛いんですぅ、私はいい子なんですぅって振る舞ってさ。何、計算してんの? そうですもんねぇ、可愛いですもんねぇ。夕陽ちゃんは私なんかと全然違ってさッッ!!! チヤホヤされるが好きなんでしょうッッッ!!!」

「え、なに、お姉ちゃん、急にどうしたの落ち着いて……」


 いきなりの展開に戦々恐々、頭がついていっていないだろう妹を、追い詰めるように言葉を叩きつける。目を見開いて驚いた、そんな顔も可愛らしい。ほんとうにほんとうに可愛いらしい妹だなぁ!!


「落ち着いてじゃないわよ、またいい子ちゃんアピール? 思えばそうよ、中学の頃からそうだったもんね、いっつも私の後についてきて、同じ部活に入って来てさ、何 でついてくるわけぇ!? ほんっとほんっとうざったい! その上いつも軽々私を追い抜いて、私はあんたの引き立て役じゃないってのッ!」


 恥も外聞もかなぐり捨ててただただ妹にぶちまける、ああ、腹が立つ腹が立つ、大嫌いだ大嫌いだ、お前なんてだいっきらいだ、夕陽なんて大っ嫌いだ!


「そんなっ、私は……」

「何、そんなつもりじゃなかったとか言っちゃうの? ならなおのこと悪いわね、無自覚なんてばっかみたぁい♪ 

 そういうところが男子にも人気があるんだもんねぇ、ねえねえ、ちやほやされてどんな気分? 

 頭も良くて可愛くてモッテモテでよかったねぇぇぇえええ!!!」

「あ゛────?」


 弱々しかった妹が咲きほどまでと打って変わって目が座る、妹と過ごした日々の中、いつもいつも無意味なくらいに可愛らしく、笑顔を振る舞う妹が初めて私に怒りを見せた。


「何、お姉ちゃん嫉妬してんの? てかそれが理由、急に私の事避けだしたのって、うわぁ……、どんだけこじらせてんの?笑えてくるんですけど。いや、マジで。

 てか、私の事可愛いかわいいって自分の顔鏡で見てみたら? 自分がどんだけ恵まれてると思ってんの?」


 口に手を当て楽しそうに楽しそうに、私を馬鹿にしたかのように、こんな夕陽始めてみた。ずっとずっと一緒にいたかわいいかわいい妹じゃなくてただの夕陽がそこにいた。


「この際だから言わせてもらうけど、私だってお姉ちゃんのこと大っ嫌いなんだから! ずっと一緒にいようねって言ったのに、ずっと仲良くしようねって言ったのに! なんで急に避けるのよ!! しかも何、嫉妬? そんなくだらないことで私の事嫌ってたわけ? ばっかじゃないの、ふざけないでよ!! 


 大体皆勝手なのよ、ちょっとうまく出来たからってすごいすごいって勝手にほめて、これぐらい簡単にできるよねって勝手にハードル上げてきて……! お父さんもお母さんもそうよ、いつもいつもできる子だっていい子だってそんなことどうでもいいわよ、がんばれがんばれってそんなに言うならあんたが勝手に頑張れっつーの!!」


 はあはあと息を切らし、髪を振り乱しながら叫ぶ、らしくないらしくない、いつもいつも完璧でいつもいつも可愛くて、頭が良くて完璧で大嫌いで大嫌いで、私を置き去りにしていったそんな夕陽らしくない、そんな夕陽はらしくない。


「で、頑張った結果がこれ? いきなりお姉ちゃんに嫌い宣言されて調子に乗ってる扱いされて、なにそれ、やめてよ、私が何したっていうのよ……」


 声に勢いがなくなって、瞳に涙が溜まりだし、どんどんどんどん遅くなる、走る速さは歩くように、ゆっくりゆっくりゆっくりと、だから私はこういった。


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