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異世界からの帰還を目指して!  作者: 沢松 宏伸
第一章 異世界
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第八話 旅の準備|(ギルド編)

 宏美ひろみ視点は取り敢えず今回で終わりです。

 ギルドではいったい何が!

ーーーーーーーーー宏美視点ーーーーーーーーー


 受付に足を進める恭子きょうこさん、それに続く私と青い顔をした章吾しょうご君。

 冒険者ギルドの中はイメージ通りに半分酒場になっていました。バーカウンターの隣に受付が有り、三人の受付嬢らしき人が並んでいます。どなたがミーアさんでしょう?


 受付嬢は全員半袖のブラウスにベストと胸元にリボンといった、私達の世界の高校の制服のような服を着ていました。これがギルドの制服なのでしょう。右から一人目は若い人間族の女の子、制服が良く似合っています。中央の兎耳の女性、何だかフワフワした天然系? ちょっと頼りない感じです。最後の猫耳の目付きがキツイお姉さん、コスプレ臭がします。ほぼ間違いなくこの人ですね。


「あなたがミーアさんですか?」

「はい。そうです。お目にかかるは初めてだと思いますが、よく解りましたね?」

「教会のアリアさんの紹介でお伺いしました。特徴はアリアさんから聞いていたので直ぐに解りましたよ。」

「そうですか。アリアさんの。それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 特徴は聞いてませんよ。ベテランとだけ聞いています。


「彼は既に登録を済ませていますが、私達の登録とギルドの説明をお伺いしたくて参りました。なんでも、ミーアさんが一番お詳しと聞いたものですから。」

「そういうことでしたら、別室でお話ししましょうか? ご説明しなければならないことも多いですので。」

「是非、お願い致します。」


 とても真面目な人のようです。

 私達はミーアさんに案内されて奥の部屋に移動しました。章吾君も大人しくついてきます。既に恭子さんの下僕のように...。

 別室に移動した私達。部屋は六畳程度でテーブルとソファーだけのシンプルなものでしたが、応接間のようで感じの良い部屋でした。ミーアさんは紅茶のようなものまで用意してくれました。


「では、まず初めに登録についてですが、ギルドでは登録に手数料は頂いて下りません。名前や年齢などを書類に記入して頂くだけです。登録後は名前とランクが書かれたこちらのタグが発行されます。このタグはギルドの会員証のようなものです。クエストの受注や報酬の受け渡し、ギルドの施設の利用等で提示を求められるので無くさないようにお願いいたします。」


 ミーアさんが見せたタグは金属製のドッグタグの様なものでした。ペンダントやブレスレットのように身に着けるのが一般的なようです。


「続いて、ランクについてご説明します。ランクは七段階有り、FからAその上にSとなります。登録の時点では過去に何処かの国の軍に所属していた経験が有っても、原則としてFランクからになります。ランクを上げるには多くのクエストに成功し各ギルド長の推薦を受けるか、昇格試験で合格するかの二つです。一般的には後者ですね。」

「そのランクはクエストに関係有るんですか?」

「クエストには推奨ランクが有ります。冒険者の力量に応じて配分する意図が有りますが、強制では有りません。クエストを受注する際の目安としてお使い下さい。また、高ランクの冒険者になると指名で依頼されることも有りますが、ほとんどはBランク以上の方ばかりです。」

「ランクを上げるメリットは有りますか?」

「有ります。高ランクの冒険者になると、マジックアイテムを通常より安く購入出来る等の支援を受けることが出来ます。高ランク冒険者は貴重ですので、その損耗を避ける狙いが有ります。」


 ランクを上げておくことにこしたことはないようですね。


「クエストに関してですが、大きく分けて二種類が有ります。ギルドからの魔物討伐依頼とマジックアイテムの素材収集や護衛などのギルドが斡旋する依頼です。ギルドからの依頼の場合は失敗してもペナルティは有りませんが、斡旋した依頼の場合は違約金が発生します。」

「冒険者の収入元はクエストだけですか?」


 クエストだけだときついですね。


「いいえ。クエストはむしろ副収入になります。冒険者の主な収入元は魔石で、他には魔物の角や毛皮といった素材ですね。これらの売買による利益がギルドの運営資金となっているので、売買が認められているのはギルドだけです。」

「どの魔物からどんな素材が手に入るかは、各ギルドに図鑑が有りますので情報収集に利用してください。」

「魔石というのは?」

「魔石は魔物の核です。魔物の魔力の源で、普通の動植物との違いの一つで、基本的には魔物の心臓付近に有る赤い石のようなものです。強い魔物から取れる質の高い魔石はマジックアイテムの素材として高く取引されてますね。」


 話を聴いた私はまさかと思い、アレをミーアさんに見せました。


「これって、もしかして...魔石ですか?」

「はい。質は悪いですが、間違いなく魔石ですね。」


 あの魚、やっぱり魔物だったんですね。


「いつに間にそんなものを?」

「あの時の魚ですよ。」

「げっ! 食っちゃったじゃんか。」


 事実を知った恭子さんと章吾君はドン引きです。


「まあ、珍味と言うことで、高値で取引されるものも有りますよ。」


 ミーアさんのフォローもあまり効果は有りませんでした。不味かったですからね。


「あれ? でも、そうなるとギルドから魔物の討伐依頼を出す必要は無いんじゃないんですか?」

「そうだよな。黙ってても勝手に狩るんじゃね?」

「魔物の中には、核の魔石を破壊しないと仕留められないものもいるんです。金属などの素材を残すものは良いのですが、石のゴーレムやアンデットのように碌な素材を残さないものは嫌煙されてしまうので、報奨金を出して狩って貰っているんです。他には犯罪者や被害をもたらした魔族も討伐対象になります。いわゆる賞金首ですね。」


 最後に関わりたくない話が有りましたが、聞きたい話はこんなところでしょうか。


「最後にお伝えしておかなければならないのは、決闘制度ですね。」


 もっと関わりたくないフレーズが飛び出しました。


「決闘ですか? ずいぶん物騒な制度ですね。」

「荒くれ者が多いですから、こんな制度でもないと収まらない揉め事も有るんですよ。」


 溜め息混じりのミーアさん。


「決闘は冒険者同士の揉め事で、話し合いで解決出来ない場合に行われます。」

「具体的にはどういった制度なんですか?」

「基本的には両者の同意とギルド長の承認の下で行われます。ただ、決闘を挑まれた側は辞退することも出来ます。ですが、お勧めは出来ません。辞退した場合は全面的に非を認めたと判断され、多額の賠償金を請求されることになります。」

「意を通したければ、実力を示せってことだな。」

「そういうことですね。実力至上主義ですので。まあ、めったに有ることではないので、そういうことも有るとだけ覚えておいて下さい。実際このギルドでも数年間行われてはいませんから。」

「お話は以上になります。宜しければこちらに書類に記入をお願い致します。」

「有難う御座いました。」


 ミーアさんにお礼を言い書類に記入を始める私と恭子さん。すでに登録を済ませて暇そうな章吾君は、


「そういえば、あの二人の今のランクはどうなってるんだろうな。」

「あの二人と言うのは?」

「一週間ぐらい前に登録したと思うけど、裕樹ゆうき和雄かずおって奴等。」

「和雄さんとお知り合いなんですか!」


 油断してました。ここにも地雷を落としていった和雄さん。章吾君。黙ってれば良かったのに。


「えっ! あっああ。知り合いって言えば知り合いかな。今は何してんのか知らねえけど。」

「そうですか...。」


 落胆の色を隠せないミーアさん。何があったのか聞いておくべきでしょうか?


「和雄さんと何かあったんですか?」

「いえ...。最近会いに来て下さらなくて。裕樹さんは良く素材の売却に来るんですが、忙しいらしくて。一週間前はあんなに愛を囁いて下さったのに。」


 完全に仕事を忘れて女の顔になるミーアさん。口説いていやがったあの男!




 和雄さんを女の敵と認識した私と恭子さんとおまけの章吾君は、その後魔物を狩るのに精を出すのですが、どういうわけか町の周辺に魔物は少なくあまり稼ぐことは出来ませんでした。


       一週間の成果


売却した魔石 小さな魔石  12個 24000ルク 

売却した素材 ゴブリンの角 10本 3000ルク

        ツインフォックスの尻尾 8本 4000ルク

       コボルドの牙 6本 1200ルク

売却した武器 ボロボロの剣  4本 4800ルク

       ボロボロの斧  3本 2700ルク

合計        39700ルク 


購入した武器  安物レイピア  5000ルク

        安物スタッフ  2500ルク

        安物斧     6200ルク

宿代|(安宿)  3人分×7日間   25200ルク  


残金         800ルク


 結果、私達三人はほぼ無一文で旅立ちの日を迎え、裕樹さんと和雄さんを待っています。

 項垂れる私達の前を馬車が通り過ぎます。あれっ! 通り過ぎない?


「三人か...。まあ、集まった方か?」


 見上げると御者台に座る裕樹さんと馬車の中から顔を出す和雄さん。


「さあっ! 出発するよ。乗って乗って!」


 どんだけ荒稼ぎしてるんですか! この二人! 

 

 こうして溜め息と共に私達の旅は始まりました|(裕樹と和雄を除く)。







 和雄はギルドでもやらかしてました。

 何故宏美達はみすぼらしい姿で旅立ちの日を迎えたのか?

 決まってますよね。裕樹と和雄が狩り尽くしたからです。


 ちなみに通貨価値は日本円の二倍ぐらいで考えました。無理の有る数字じゃ無いですよね。


 次回は旅の道中では無く、キャラクター設定や世界観の説明などを挟みたいと思います。本編はもうしばらくお時間を下さい。

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