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異世界からの帰還を目指して!  作者: 沢松 宏伸
第一章 異世界
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第四話 情報収集

 町に着いた裕樹達。

 暖かい寝床は手に入るでしょうか?

 異世界転移後、二日目にして町らしき場所に辿り着いた裕樹(ゆうき達。しかし、皆一様に不安を感じていた。果たして彼等異世界人と言葉を交わすことが出来るのだろうか? 彼等の目に自分達はどう映るのだろうか? 誰もが足を踏み入れることが出来ずにいた。ひとりを除いて、


「えくすきゅ~ず み~。」


 笑いを取ろうとしているとしか思えないカタコトの英語。そうです。裕樹です。怖いもの知らずです。


「まい ねいむ いず...」

「旅人かね?」

「日本語!?」

「日本語? ニーベル語の間違いじゃないかね?」


 どうやら日本語とこちらの世界のニーベル語という言語は良く似ているらしい。これ幸いと裕樹は、おじいさんに話し掛ける。


「ニーベル語が通じる人が居て助かりましたよ。実は困ってまして...」

「おや? 最初はエルグ語を話しておらんかったか? エルグ語の方が広く知られておるはずじゃが」


 いきなり墓穴を掘った裕樹。顔が引き攣る。たまらず和雄かずおが助け舟を出す。但しその顔は笑顔と言うよりは笑いを堪えている顔だった。


「失礼しました。ご老人。彼は見た目通り馬鹿でして... 覚えたての言葉を意味も解らず使いたがる悪い癖が有るんですよ。」

「そうなのか、若いの。めげずに勉学に励むのじゃぞ。」


 一応フォロー出来ていますが、もう少しやりようが有ったでしょう?と裕樹の抗議の視線を浴びながら、和雄は平然と嘘を並べる。


「実は私達は旅をしながら、各地の名産品で商いをしている者でして、」


 良く回る舌である。


「ところが半日ほど前に、街道を進んでいる途中で化け物に襲われまして、体一つで逃げて来たのです。」


 本当に良く回る舌である。


「手持ちのお金も無くしてしまい、売れるものと言えば護身用の武器か今着ている服ぐらいしか無いのです。何処か一晩だけでも泊めて貰えそうなところをご存じではありませんか?」

「おお! そうかそうか、大変じゃったのう。ならば、ここから町の反対側に有る教会を訪ねてみてはどうじゃろう? きっとお主等の力になってくれると思うぞ。」

「そうですか。有難う御座います。早速そちらを訪ねてみようと思います。」

「では気を付けてな。旅の方々。」


 有用な情報を仕入れた和雄はご老人を見送った後、ドヤ顔で裕樹達の方を振り返る。しかし、彼を出迎える皆の視線は冷たく、詐○師を見るような目だった。




 町の大通りを練り歩く見慣れぬ集団。当然人目を集めることになる。しかし、其れは其れで好都合だった。町の人々の顔が良く観えるので、この町のと言うかこの世界の住人の内訳がおぼろげに見えてきたのだ。

 五割近くが裕樹達と同じような人間。赤や緑といった不思議ヘアの人は見当たらない。四割は獣人と言って良いだろう。犬耳のお姉さんや猫耳のご婦人、兎耳の少女など様々だ。残り一割は亜人と言えば良いのか、ドワーフみたいのだ。残念!  エルフのお姉さんはいなかったぞ! 和樹!

 男はいなかったのかって? いたよ。いましたとも。ヒャッハーみたいな鎧をつけた厳つい兄ちゃん達が...  勿論スルーでしょ! 目を合わせちゃいけません! ガンつけないで下さい。怖いです。


 そんなこんなで迷える仔羊達は教会に辿り着いたのだ。教会の方との交渉は勿論、和雄先生! だと後々厄介事が増えそうなので、恭子きょうこさんが担当。


「夜分に申し訳ありません。どなたかいらっしゃいませんか?」

「はい。皆様当教会にどの様な御用でしょうか?」


 対応してくれたのは、犬耳の上品な雰囲気を纏ったシスターだった。


「初めて、私は恭子と申します。」

「初めて、当教会でシスターを勤めおります。アリアと申します。」

「私達は怪物に襲われてしまいまして。荷物を失ってしまったのです。町の方に伺ったところ、こちらの教会を頼ることを勧められたのですが、一晩だけでも泊めて頂くことは出来ないでしょうか?」


 人数を見て少し考えるアリアさん。


「当教会ではこれだけの人数を受け入れる部屋は御座いません。しかし、皆様にこのままお帰り頂くことを神様も良しとはしないでしよう。少し寒いですが礼拝堂で宜しければご用意出来ますが、いかが致しますか?」

「有り難う御座います。宜しくお願いします。」


 流石恭子さん! 見事に全員の寝床を確保してくれた。野宿を避けられただけでも有りがたい。嬉しいことに湯浴みまでさせてくれるらしい。しかも、さすが異世界、アリアさんは治癒魔術を使えるらしく、怪我人も皆回復してくれた。アリア様々である。




 翌朝になると、なんと朝食まで頂いてしまった。精進料理のような質素なものだったがとても美味しかった。裕樹達はお礼として教会の仕事を手伝うことになる。教会は孤児院が併設されていることもあり、万年人手不足だった。全ての仕事が終わると日が暮れてしまい。もう一泊させて貰うことになる。このままだらだらと居座ってしまいそうだ。その日の夜。


ーーーーーーーーー宏美視点ーーーーーーーーーー


「裕樹さんと和雄さんにアリアさん?」


 宏美はお手洗いから戻る途中に三人を見かける。悪いとは思いながら三人の会話を盗み聞きすることにした。


「そうで.....術に関し.....のクロードさんが....ですね。ただ、.......難しい人で。」

「なるほど、.....は.....さんに.......しましょう。」


 遠くから聞いているせいか、肝心なところが聞こえません。


「....金は、どう....えば良いだろう。」

「でしたら、.....ルドに、....てはどうでしょう。そう....何処でも.....来ます。」

「....ことも、知りたい...]

「....は、町の東.....ソラ...さんが......すよ。」


 あの人達はいつも難しい話をしています。たぶん聞き取れても私には解らないことだと思い諦めることにしました。


 翌日、教会の仕事をしていると、裕樹さんと和雄さんが居ないことに気付きました。たぶん昨日の話が関係しているのでしょう。

 夕方になると満足そうな顔の和雄さんと疲れ切った顔の裕樹さんが帰ってきました。何が有ったのでしょう。いえ、何をやらかして来たのでしょう。

 そして、教会にお世話になること三日目の朝、私達にとって重大な決断をする時がしました。

 裕樹さんが話が有ると、全員を集めたのです。





 和雄先生大活躍!

 そして、詐○師疑惑浮上!


 次話は引き続き宏美視点でいきたいと思います。

 裕樹の大暴走! みんなついていけるのか?

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