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R+H  作者: あんみ
2/8

2 うれしい電話と計画

あたしは気づいてた。

水島の笑う顔を見るたびに、あったかい何かと、ちくりと刺すような痛みが、あたしの中に広がるコト。

あたしは気づいてた。

ヒナが水島と話すとき、ピンクのほっぺがいつもよりピンクになって、すっごくかわいくなるコト。

あたしは気づいてた。

水島は、ヒナに話しかけるために、いつもヒナの隣にいるあたしによくつっかかってきてたコト。


ヒナも、水島も、あたしも、一言も、何も、言わなかったけど。


だって、幸せそうなヒナを見るだけで、

あたしだって幸せだった。

幸せそうな水島を見るだけで、

あたしだって幸せだった。


ヒナとは、今でも連絡を取り合ってた。

メールもできるんだけど、手紙のほうが好きだから、手紙のやり取りと。

たまに電話。


「理奈ー、理奈ー!ヒナちゃんから電話!急いでー」

自分の部屋でボケーッと雑誌を眺めていたあたしに、

お母さんが下から叫ぶ。ヒナから電話?久しぶりじゃん!!

あたしは寝転がってたベッドから飛び起きて、急いで階段をおりていった。



「もしもし、ヒナー?」

「あっ、リナ!久しぶり!!」

電話でも変わらない、おだやかで優しいヒナの声。

あたしはヒナの声を聞いたとたん、すっごく嬉しくなって、多分ものすごいおっきな声を出してた。

「ちょっとー、超久しぶりじゃん!!元気だった?」

「うん、すっごい元気!リナは…元気そうだね」

「あたりまえじゃん!」

ふたりで笑って、近況報告なんかを少しする。

「そういえばヒナ、どしたの?電話とか珍しいじゃん」

「うん、あのね……」

電話の声からしても、ヒナに何か嬉しいことがあったのがわかる。

なになに、どしたんだろ??

「あのね、今度の3連休、リナんち泊まれることになったの」


…………。


「マジでぇーーーーーーーーー!?」

「マジでー!!おばちゃんにはもう話した」

何、ちょっと、マジ!?

超嬉しいんだけど!!

「だって、今日火曜日でしょ、んで、今度の3連休だから今週の土、日、月?」

「そうそう」

「えーっ、超嬉しい!!2泊3日??」

「そうそう」

「やったー!!ちょっとー、部屋掃除しなきゃいけなくなっちゃったじゃん」

「うん、ものっすごいキレイにしといて」

「えぇーっ、めんどくさぁーい」

「だめっ」

冗談を言い合いながら、あたしたちは3連休何をするかの計画を立て始めた。

「どうする?ヒナ、ほかのみんなにも会いたいよね?」

「そうだねー、でもあたしのことみんな覚えてるかなぁ?」

「忘れるわけないじゃん!バカだなぁ」

「あは、そうかなぁ」

「そしたら、日曜日だったらいちばんゆっくり遊べるから明日声かけてみる!」

「ほんとにー?ありがとう!」



わー、急だけど、すっごいうれしい。

日曜日、誰誘おうかなぁ。

あんまりいっぱいいても少人数でわかれちゃうんだよなぁ…。

それはイヤだから、6人ぐらいがいいのかな。

同じ小学校のメンバーを誘うのがヒナにとって一番いいよね。

まず、のんちゃんは絶対誘うでしょ?

ヒナもあたしも、すっごく仲良しだし。

んで、のんちゃんが来るなら、斐川がいたほうがいいかなぁ。

のんちゃん、斐川のコト好きなんだよね。

のんちゃんは、佐伯希っていって、これまたヒナみたいにかわいい女の子。

ずっと斐川のことが好きみたい。のんちゃんは誰にも言わないけど、周りにはバレバレ。

斐川は、斐川敦也っていって、背も高くて明るくて、女の子からなかなかの人気者。

だけど菅谷と水島っていうバカといっつもつるんでるところからして、やっぱりこいつもバカ。

っていうか、名字が読めない。これでヒカワって、あたしはすぐに読めなかった。…ま、あたしが漢字ニガテなだけだけどね。

斐川も、もう彼女とは別れてるし。のんちゃんチャンスだよね!!

そんで、斐川がいるんだったら、菅谷もいたほうがいいよね。

で、斐川と菅谷がいるんだったら、………。

水島も、誘ったほうがいい…よね。


うん、菅谷と斐川と水島でいっつもつるんでるんだから、

菅谷と斐川だけ誘っといて、水島だけ誘わなかったら、ぶーぶー騒ぐだろうし。


別に、誘いたくて誘うわけじゃなくて、義理だもんね。

うん。

次の日。

「のんちゃん、おはよ!」

「あっ、リナ!おはよー!」

教室に入ってのんちゃんの姿を見たとたん、あたしはのんちゃんに飛びついた。

「ねーねー、のんちゃん!今度の日曜ヒマ?」

「日曜?なんで?」

「あのね、ヒナがうちに泊まりに来るの!で、日曜みんなで遊びたいから」

「まじでーー!?超久しぶりじゃん!!絶対行く!」

ヒナの名前を出したとたん、のんちゃんは目を輝かせた。愛されてるなぁ、ヒナ。

で、のんちゃんがOKを出したから、あたしは小声でささやいた。

「斐川も誘っとくから!」

「えっ!?いいよ、そんなの!べつに」

のんちゃんはかあっと耳まで真っ赤にして、すっごくあわてた。

かーわいぃ〜。

「いいって、いいって!誘っとくから、ね!」

「…いいのに、別に」

『いいのに』って言いながらも、のんちゃんはちょっと嬉しそう。

あはっ。わかりやすっ!

でも斐川はチャイムと同時に教室に駆け込んできたもんだから、朝のうちに斐川に話はできなかった。

めんどくさいなぁ。菅谷にまとめて頼んじゃえ。

席について、隣の菅谷に声をかける。

「おはよっ、菅谷。ねぇねぇ、ヒナのこと覚えてる?」

「ヒナ?ヒナって神矢日向子?」

「そうそう」

「うん、覚えてるよ」

「それでね、そのヒナが今度の3連休うちに泊まりに来るわけよ」

「へぇー!懐かしいじゃん」

「でしょ!んで、ここで相談なんだけどさ、日曜ヒマ?」

「日曜?…まぁ、ヒマなんじゃん」

「じゃさ、遊ぼうよ!のんちゃんも来るって言ってたし、斐川にも声かけといてくんない?」

「佐伯?佐伯が来るからアツ?なんで?……あ、あー。わかった」

菅谷はにやっと笑って快諾した。

多分、あたしもにやっとしてたと思う。

あたしは、こういう方面でのカンには自信がある。

そして菅谷も、男にしちゃあなかなかのカンを持っているのだ。

…まぁ、菅谷の場合は自分のことになると超ドンカンになるんだけどね。

「でさぁ、あんたたちいっつも3人でつるんでんじゃん。だから、斐川もいて菅谷もいるのに…」

「あー…拓だけ誘わなかったら、多分めちゃくちゃ騒ぐだろーな」

「それそれ、そうなのよ。だから、ついでに水島も誘っといて」

「いいよ、わかった。…っていうか、俺らほんとは受験生なんだけどなー」

困ったように笑う菅谷に、あたしは間髪入れずに言った。

「たまには息抜きも必要っ!」

「…おまえ、いっつも息抜きじゃん」



休み時間に菅谷が斐川と水島に話を通してくれて、そしたら2人とも来れるらしかった。

よかったよかった。みんなヒマ人で。


…はやく、土曜日にならないかなぁ。



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