男「泣きたい」 and 友「…………」
男は教室に帰ってくると、とたんに机に突っ伏す。
そんな男をみかねて友が近づくと、男は顔を少しだけ上げながら息をこぼし始めた。
男「ハァ……」チラッ
友「…………」
男「ハァ……」チラッ
友「…………」
男「ハァ~」チラチラッ
友「(なんだこいつ面倒くさい)どうした」
男「クールさんに嫌われたかも……ハァ」
友「正直嫌われないほうが不思議だけど」
男「な、なぜっ」
友「基本的にがっつくからだよから」
男「くっ……」
友「まあ、他にも理由はあるがな…」
男「え、なんだって?」
友「なんでもねぇよ」
男「そうか……ハァ……」
友(ちょっとでしゃばることにするか)
まだため息を吐き続けている男をほったらかしにして友は教室を出た。
後ろから「あ、あれっ!? 友ー!!」と聞こえてきたが、どこの迷惑な野郎だろう。
友がやってきたのは、クールの教室。
適当な女子を捕まえてクールを呼んできてもらう。
その女子から何かを話されたクールは友の顔を確認すると不快感を露にした表情をするが、友のもとへと歩いてきた。
友「よお、クール」
クール「……何よ、友。もう話すことはないと思ってたわ」
友「お前がそう望んだからな」
クール「……それで、何か用事?」
友「お前に最近話し掛けてる男っているだろ」
クール「あなたの友達なんでしょ。なんで私の所に連れてきたのよ」
友「あいつが望んだからな」
クール「……私は望んでいない」
友「それは分かる。それでも、俺は何とかしてあげたい」
クール「……立派な友情なこと」
友「お前のことだよ、クール」
クール「………………」
友「過去を気にしすぎだ。そろそろ、前に進めよ」
クール「あなたに言われる筋合いはないわ。私は私の考えを持って動いてる」
友「俺の目にはそれが問題として映ってる。お前がしているのは、ただの現実逃避だ!」
クール「……だったら」
友「え?」
クール「だったらなんだっていうの!? 私は強い人間じゃないのよ! こうでもしないと正気を保っていられないの!」
友「クール……」
クール「……ごめんなさい。熱くなってしまったわ」
友「……いや、俺も悪かった」
クール「もう、行くわね」
友「………………確かにお前には辛いかもしれないが、俺は男をお前の所に送り込んでやるよ。それがお前のためになるはずだ……」
その友の声はクールには届いていなかった。
そして、次の日がやってくる。




