男「体育が終わったら話しかける」
体育が無事に終わり、男は勇猛果敢にクールに話しかける。
体育が終わって話しかけてくるクラスメートもいたが、今はそんな有象無象に構ってやる時間などないのだ。
男「(さりげなく近づいて)クールさ~ん」
クール「……」
男「いやあ体育疲れましたねぇ。どうです? 一緒に飲み物でも買いに行きませんか? 旅は道連れ、なんちゃって」
クール「……誰?」
男「うぇっ!? いやいや体育一緒の男だよ」
クール「ふーん。ジュースは一人で買いに行くからいい」
男「――っていうことあったんだよ。飲み物をジュースで返してくるとは思わなかったぜ。カタカナ言葉とか可愛い。クールさんって女の子だなと思ったよ」
友「それで、どうなったんだ?」
男「着いていこうとしたら『何あなたストーカー?気持ち悪いから、こっちに来ないでくれる?』だってさ」
友「だからがっつくからだよ」
男「どうすればいいんだよ」
友「男、ギャルゲはやったことあるな?」
男「な、なんだよ唐突に」
友「重要なことだ。なんだ、それともエロゲか?」
男「ギャルゲだっつーの! って、あっ……べ、別にギャルゲなんかやったことないんだからね!」
友「はいはいツンデレ乙。それなら話は早い。男よ、主人公に成り切るんだ」
男「すまんがよく分からん」
友「主人公ってやつは、色々な壁にぶちあたるだろ。それでも、最後にはハッピーエンドに持っていくことができる。しかも、ヒロインとも高確率で結ばれる」
男「ということは……?」
友「お前も主人公のように振る舞えば、いいんだ」
男「どんなのがいたっけ」
友「それはゲーム毎に異なる。ここは、多くの主人公が持つ、ヘタレで優しいを採用しよう。幸いながら、ヘタレは既にあるから、優しくなれればいいだけだ」
男「俺はヘタレじゃないよ!?」
友「隣のクラスに行くときに俺を連れていったのは、誰だったかな~」
男「ぐっ」
友「よし、じゃあ明日から実践だ」