友「俺とクールの仲は」
友「クールとは中学が同じでクラスメイトでもあった。そこそこ仲も良かったんだと思う」
男「そうなのか。けど、いっしょに会いに行ったときに、そんな感じはしなかったけどな」
友「それはクールとしていた、ある約束のためだ」
男「その約束って言うのはなんなんだ?」
友「………………」
男「もったいぶらずに、教えてくれよ」
友「……この話をするのは、俺にも思うところがあるからだ。そもそも始めは男とクールがうまくいくことなんか絶対にないと思ってた。男もすぐに諦める妥当と楽観視してた」
男「ひどいことを言うなあ」
友「それについては謝る。……けれど、男からクールの話を聞くたびにその認識は間違っているのではないかと思い始めた」
男「本気だからな」
友「ああ。クールを狙う理由を聞いたときは殴りたいとも思ったが、あれは男の照れ隠しだと気づいたよ。あんな理由だけで、冷たくあしらい続けるクールのところに通い続けるわけがないもんな」
男「て、照れるだろ!?」
友「そんな男だから、この話を聞いてもらおうと思った。……ここで、確認をしたい。男はクールに対して、本気なんだな」
男「ああ。クールさんを攻略した……いや、言い直す。クールさんを幸せにしたい」
友「その言葉が聞けて嬉しいぜ。じゃあ、今からする話を心して聞いてくれ」
男は友から語られるクールの昔話を無言で聞き続けた。
聞き終わった後、男の胸のうちには抑えきれない感情がうずまいていた。
そして、その感情はすぐに外に出ることになる。
ばんっ!
男は机の上に力いっぱい拳をたたきつけた。
その顔は、眉が寄せられており、いつもにはない険しさを物語っていた。
そして、男は友に、
「クールさんのところにいってくる」
と言い残すとこの場から走り去っていった。
友はその背中が見えなくなる見つめていた。
その顔は緊張でこわばっていたが、どこか期待をしているように嘆願している表情もうかがえた。
そして、クールと対峙にし行った男に向けて、
「がんばれよ」
と激励を送って、天井を仰いだ。
そして、
「俺にもあんなになるまでに夢中になれる女の子がいたらなあ!」
とおちゃらけたように笑う。
もう緊張している様子などない。
男に対する信頼が友の表情をやらげていた。