簡易暫定設定集
※全て暫定かつ簡易の設定となります。公開用。長くなるので興味のない方はスルーを。
また、核心ではないにせよネタバレを含むこともあるので、自己責任でのご覧をお願い申し上げます。
お読みにならずとも本編に影響はなく、かえって想像の楽しみを殺してしまう可能性もありますので、閲覧は皆様のお好みと自己裁量にてお願いしたく。
設定なので説明口調はご容赦を。
※特にオカルト要素は本作での改変、作中作であるオンラインゲームからの二重アレンジが多いですので、一つの独自解釈であり、正統・本来のそれでないことにはご注意を。
また、あくまで「設定」であって本編で説明的に描写することはない、あってもテンポや必要性を重視して切り捨てることが多々ありますので悪しからず。
特にデータやステータスを単体で貼り付けることは、以降の本編の機会があっても行わないと思います。
世界観について→設定→登場人物、の順
世界観について
聖賛歌大陸
<ファンタジー・クロニクル・VR>の舞台、もしくは現実の異世界そのもの。
かつては人間も亜人も魔族も全体に分布していたが、時代が進むにつれて人間に敵対的な勢力が大陸の外側に追いやられ、幾つかの緩衝的な国家を含みつつ残っている。
主人公たちのゲーム中の時代では、人魔混合で10数個の国が存在していた。
魔物VSその他から、魔物VS魔族VS人類、そして魔物VS魔族VS人間VS人類という流れを持つ、戦いと滅亡の情熱大陸。
実のところ、界暦1000年の歴史において主人公の知る700年分がゲーム中と完全に一致するかどうかは、明らかにされていない。
海運に関しては海が海魔の独壇場であり、海に接する大陸の外周は魔族の勢力圏である他、魔物・魔族の攻撃に耐えうるだけの大規模船は極めて数が少ないため、あまり発達していない。
ヴァラハール王国
敢えて言うなら本作における「m9(^Д^)」枠その1。
王政を敷いているが王権は既に絶対ではなく、貴族がそれなりの力を持って動いている。
結果、対帝国を前に纏まり切らず、教国に擦り寄る者も存在。
2度に渡る勇者への<魔王>討伐依頼は、有力な軍人を動かせない事情もあったが、そのような背景も一因に含んだ。
魔人領の一部は取り戻されたが、現時点ではまだ得たものの方が大きい。
帝国
大陸最大の版図を持ち、総合力では間違いなく最強。
故に敵も多く、広大な領土と国境線の統治、防備は完全とは言えない。
かつて「創造教」を取り込んだがやがて排斥に回り、教国からは恨みを買っている。
教国
人類の中でも<人間>を至高とする創造神の教え、<創造教>を国教と国是に置く宗教国家。
しかしその教典、彼らのいう神を正式に裏付ける歴史的資料は存在しない。
他種族に対する聖戦(侵略)と奴隷制、階級制を公式に認めており、<聖戦騎士団>を始めとした軍事力も備えている。
その構成は<僧侶>系と<戦士>系が殆どを占め、他国に比べると歪。
魔族
<人類>外と定義された敵対種族。人類種の<亜人>とはまた別のカテゴリ。
ゲームにおいては一応選択可能だが、人類のそれとは別の勢力圏に属し、互いに争うことになる。
魔物と違って知性があり、生殖で人口を増やし(不死族は例外)、死ねば骸が残る。
程度に差はあるが子を教育するだけの文化があり、人類とも意思の疎通が可能で、稀に交流を持つ者や地域も存在する。
異世界の場合、代表的にして狭義で指すのは以下の7つ。
<竜族>、<魔人族>、<巨人族>、<海魔族>、<魔獣族>、<淫魔族>、<不死族>。
これらは過去、特に<魔王>を輩出した種族でもある。
魔人族
魔族の中では淫魔族と並んで外見が最も人型に近い。
ただし細かなパーツや体色の違いは、やはりエルフやドワーフに比べると蔑視を強めている。
大別して肉体の特徴を<人間>と異にする『亜人型』と、魔石を体に宿す狭義の『魔人型』が存在。
例外もあるが前者は肉体や特殊な能力に優れ、後者は魔法に秀でていることが多い。
両者の間で生殖は可能。肉体の近似から、文化と技術面で体系が最も人間に近い。
現時点ではハルキを<魔王>に戴いた集団を筆頭に、まだ抵抗を保つ勢力が魔人領各地に点在している。
しかしその総力はハルキの影響を除いた場合、既に過去の半分にも満たない。
魔王
ゲーム的には選択できる職業の一つ。通常のプレイヤー全員、すなわち人類種の敵。
同格のプレイヤーと比べ、突き抜けた性能を持つボスモンスターになる代わり、パーティーを組むことが出来ず、アイテムの売買やトレード、拠点となる町への出入り等が制限される。
魔王が町に近付くと警報つきで討伐クエストが発生し、結果フルボッコは珍しくない。
その特性や戦術は、選択したクラスである程度が決まる。
なお、異世界においては極めて強大な「魔族の王」を意味し、言わば称号であって、その言動や客観的正邪は規定しない。
例外も存在するが基本的には各魔族の統治者を兼ねており、グローリア大陸においては数体~10体前後が常に存在している。
なお、魔王のクラスを取得、転生できるのはゲーム中ではレベル60からであり、成った時点で通常の同レベルパーティー(6人)に匹敵か凌駕する総力を持つ。
・グローリア大陸における魔王の存在
<金毛白妖>タマモ
<天壌>ウルリクムミ
???
<大淫婦>リリス=キスキル・リラ
<深遠海王>ダゴン
???
<迷宮の魔王>ハルキ
??? ??? ???
設定
魔物
魔力が何らかの要因で結晶化した存在。その際に混合した生命力、怨念、自然の属性など様々な要因で何が誕生するかが決まる。
ただただ本能らしきモノに従って行動し、大部分は攻撃的。
その《支配》や《飼育》には専用の技能と適正、あるいはそれらに変わる強力無比な何かが必須。
ゲームと異なり無限に湧き出るわけではないため、その違いは異世界において、戦闘者の平均レベルや素材の流通量に大きく影響している。
迷宮
ダンジョンの一形態。その内部に数多の宝物や罠、魔物を擁する危険地帯。
多くは過去の遺跡や廃墟となった施設に魔物が住み着くことでダンジョン化するが、強大な存在によっても生成される。
特に後者の場合は建造と維持に莫大な魔力が必要なため、魔力の濃い土地とその支配の継続が条件。
通常、構造は1階ごとの各層と、5階ごとの階層による。
迷宮を持つということは基本的なプレイが迷宮内で完結しなければならないので、移動に不自由しないプレイヤーに比べると、生活圏が狭い代わりにシステムの自由度が高く、迷宮一つで色々な職業の楽しみを味わうことも可能。
ただしいずれも専門には劣る。
床や壁、天井は基本的に<迷宮の魔王>の力で生命を持っており、必要に応じて修復や多少の変形も行う。
魔王の支配力によって遠見の魔法など外部からの干渉を受けず、内部の情報を得るには、魔法にせよ物理にせよ直接侵入して行うしかない。
迷宮の魔王
<ファンタジー・クロニクル・VR>において、<魔王>に分類される職業の一つ。
おおよその能力と特性は本編で描写した通り。
魔王自体が特殊と言えば特殊であり、廃人の中でも過去のスタンダードな職業選択からのプレイ経験が通じない部分が予測されたため、攻略とレベル上げを最優先にする主流な廃人層は取得を避けている。
その上で<迷宮の魔王>を始めとしたシミュレーション要素が加わるダンジョンマスター系統の魔王は単純な戦闘、生産を主にしたい層が更に脱落したため、比率としてのプレイヤー数はかなり少ない。
プロローグで描写したように、レベル82のハルキがプレイヤー運営の迷宮難易度ランキング7位、総合ダンジョンランキングでも50位以内に位置するのはそのような事情。
魔王職の中のダンジョンマスター系統の中の更に迷宮の魔王に限定すると、プレイヤー数は100人単位が精々というのが現状の作者の想定。
よって運営もシステムを多分に他から流用している。
しかしユーザー母数自体が桁違いのオンラインゲームにおいて、どんな人気職であれマイナー分野であれトップ10にいること自体が並の努力と適正ではない。
<邪悪の樹>
<ファンタジー・クロニクル・VR>においては、カバラのそれとして言及される「生命の樹」の単純な対概念として採用されている。
元ネタには特に魔物を産むなどの要素はない。
迷宮に限らず、魔王系の運営ダンジョンでは基礎に選択されるシステムの1種。
各球は様々な悪徳や悪魔・魔神に対応しており、
物質主義 不安定 貪欲 色欲 醜悪
残酷 無感動 拒絶 愚鈍 無神論
各自を司るのはかのサタンやベルゼバブ、アスタロトであったりする。
魔法
特に記載することはない。
ファンタジー・クロニクル・VR
近未来に存在する仮想現実接続型のオンラインゲーム。
VRMMORPG。
電脳にして一個の世界であり、その総体を余さず記載することはこの場では不可能、よって割愛させていただく。
運営本社は日本企業だが、ユーザーは世界中に存在する。
個性的特色を打ち出すよりも、幅広く一般に共有される「ファンタジー」の概念を基礎に置き、初期にライトゲーマーを多く囲って最大母数の元に採算を取るタイプ。
いつでも誰でも始められる。そして世界に触れて初めて、アナタの物語が始まる。そんなスタイル。
言語自動翻訳機能付き。
電脳事件・事故への対策は万全のはずだったが、そのサーバーから一人のプレイヤーのデータが消えたのは…………。
入力方式
手動、音声、思考の3方式。
触れて動かす、声で命じる、意識で操作するの3つ。
レベル
規定法則下における存在強度。
支配力、影響力、行使力、生命力、魔法力その他の総合にして基礎となる数値。
異世界においては対する存在の有する圧力、秘めた内力の漏出として感覚され、隠蔽も可能。
基本的には戦えば高い方が勝つ。
しかし相性差や装備の質、戦術戦法、道具や罠の用意による優劣も忘れてはならない。
最大値は100。
職業、装備の両方に対応し、大雑把ながら20ごとの計5段階で便宜的なランクが決まっている。
レベル1~20までは素人・通常の領域。
そこから40までがベテラン・努力の領域。
レベル50が上位・下位を隔てる才能と努力、どちらか「だけ」での領域。
40から60は達人、わずかな才と執念、または天才の階梯。
60以上80未満は才能と意志と地獄と幸運のかけ合わさった、英雄の頂。
そして80以上は、超越者たる神や魔の存在である。
と、<ファンタジー・クロニクル・VR>の公式設定「は」定義している。
異世界における平均は、命の危機の有無、魔物の数の違いなどから、ゲーム中よりも低い。
ゲーム中では限界到達者、すなわち100レベル保持者がいないため、90レベル帯が廃人の争う最前線であり、その次の平均的上位・高位プレイヤーがレベル80帯、その下のレベル60~79が主流なプレイヤーによるダンゴ状となっている。
技能
大別して魔法技能と生命技能、生産技能、補助技能。
厳密な定義はもっと細かい。
狭義においては前半の2つ、戦闘においての特殊攻撃を指す。
こちらは何かしらの消耗を伴うことが多い。
生産技能は字の如く。
補助技能は純粋な技術による奥義、《鍵開け》などの直接戦闘に寄与しないもの、《値引き》などの生産行為そのものではない商用スキルなどを含む総称。
生命技能
自身の生命力を消費して肉体を強化、もしくは生命力そのものを切り離して攻撃する技術。
魔力と違い、使い過ぎるとその元となる肉体の消耗・負荷から動きが鈍るため、多用は推奨されず、異世界ではよく未熟者が頼って命を縮め、あるいは落とす。
また放った後の硬直も、後衛固定の魔法使いと異なる近~中距離の間合いでは、大きな隙となる。
氣・生命・オーラ
肉体の体力あるいは活力から精製して高めた生命力。
高密度、高純度であるほど良質とされ、凝縮されたそれは直接物理に作用を及ぼす。
装備
身に着けるだけで肉体・精神の性能、特に強度が向上する、実質上の概念にして法則の付与。
ゲーム中においてはデータの変動に過ぎないが、防御力100の防具は主に100の頑強さを与える。
つまり盾でもピアスでも装着した時点でその防御力分全身を強化するため、数十レベルの装備性能差がある場合、目や首に直撃しようと大したダメージにはならない。
ただし、装備自体の頑丈さは「付与する防御力+素材の強度」であり、使い手のそれは「付与される防御力+肉体の強度」であるため、一部の例外を除けば鎧より生身の部分を狙った方がダメージが通り、胸や腹よりは目や口内の方が柔らかい。
よって対象の動作を見切り、最大効率で威力を通すスキルなども、戦闘の中では重要となる。
また、生産職プレイヤーの不存在と素材になる魔物の数の違いにより、異世界の冒険者などをゲーム中の同レベル帯保持者と比較した場合、装備の質は劣ることが多い。
その性質から特殊な効果を持つ装備を複数合わせるとお互いが過干渉を起こして暴発を招くことがあり、よって一個人が身に着ける装備の「種類」は安定して運用できる4~6個で統一されている。
武器解放・必殺攻撃
一部の高位武装において、特別な機能や元ネタとなる伝承を再現、アレンジして放つ超攻撃。
威力の割に出が早いので、戦術的には儀式魔法より有用。
ただし基本として一武器につき一日一発が限度であり、消耗も相応なので使いどころが肝心。
初手でこれが決まった場合、かなりの割合で勝敗を左右する。
迷宮における使い方も色々あり、ハルキも複数の武装を切り替えて対応している。
グラム・ノートゥング・バルムンク
英雄シグルズが持つ魔剣または聖剣グラムと派生のノートゥング、バルムンクをモチーフにした装備で、<ファンタジー・クロニクル・VR>では別個のこれらを一本に合成強化した、80レベルの近接武装。
元ネタの伝説から【竜殺し】の効果も持つ。
勇者からして手に入れたこと自体が奇跡の、まさに切り札中の切り札。
その必殺解放は、焦熱によって前方全てを灰燼に帰す超火力攻撃であり、分かりやすい大砲。
通常、同格の相手であればよほど炎系の耐性に特化した上で守備を固めるか、体力と守りに特化した存在でなければ、直撃すると間違いなく消し飛ぶ。
それは固体戦力として別格の魔王であっても、受ければ致命傷となりうる一撃。
クロノス・クロノス・デスサイズ
黄金の大鎌。
名前のために混同されがちな時の神クロノスと農耕神クロノスの特性を合成した武装で、90レベルの高位武装。
ギリシャ神話のクロノスは、地母神ガイアが他の我が子への振る舞いのために最初の主神であるウラノスを倒すことを決めた時、怯える兄姉を差し置いて唯一賛同した神。
その際にガイアが鍛えて授けたのがこの『アダマスの大鎌』(形状とサイズに諸説あり)で、これで妻たるガイアと交わろうと無防備になったウラノスのチ○ポをバッサリ切断刑、後に海に落ちたその性器が分解でもされたのか泡を生み(同じ白色でも白濁液の方ではないらしい)、そこからアフロディーテが産まれたらしい。
作者は詳しくないので注意。
ゲーム的アレンジもされているので、本作の神話やオカルト設定は原型からすると正しくないのは請け合い。
形状からイメージされる《刈り取り》や《収穫》の効果を持ち、持久戦に向く。
ハルキはこれで得た力を魔王の特性で眷属に割り振ることもできるが、この武器の効果自体が勇者戦ではほとんど発揮されなかった。
作者が適当に中2病ルビを振った『さあ、始まりなき始まりへ/ウロボロス・メビウス・オーラム・アツィルト』」は、簡単にいうと攻撃の無効化。
ウロボロスの寓意は分野により異なるが、ここでは始まりたる頭が終わりたる尻尾をくわえて同化していることによる、終始や因果の概念の破却くらいに使っている。
全一や永劫、無限、不死などの方面ではない。
メビウスに関してはメビウスの輪や帯と記するのが正確だが韻を踏ませるため省略し、始まりも終わりもないという意味で。
オーラム・アツィルトはカバラ的なそれにおける原形界、性別や肉体と魂が分化されていない領域。
要約すると時空間と次元の断裂に攻撃を呑み込み、時間遡行によりそれが発生する以前の状態に戻して消去する、というもの。
当然、時の方のクロノス神にそんな権能があるかは運営もあえて無視している。
負の鎧
ハルキの現状での基本装備。第19話での記述にミスがあったので修正した。
付与された呪詛による概念と事象のマイナス化、つまり反転によってダメージを回復に変換する効果を持つ。
ただし、その特性を《貫通》する装備などもまた存在し、加えて正に反する呪詛としての特性から逆にある生命の技能、オーラ系のスキルによって無効化され、同様に呪詛と干渉を引き起こす魔法にも効果はない。
また闇の属性であるため光属性の攻撃は弱点。
最悪、回復効果のあるアイテムをぶつけるだけでも無効化できる。
ただし一定時間で機能は戻る。
上記のようにタネが割れれば幾らでも攻略は可能で、オマケにその特性に頼るために防御力自体は一段低く、そのためハルキは物理特化のコレルと魔法特化のデカラビアを手数に加えて受ける攻撃を減らし、<クロノス・クロノス・デスサイズ>で彼らを回復させるなどの戦法を持つ。
あくまで「初見殺し」であって、そのため、同格以下の勇者パーティーではその解明に至れなかった。
耐性・状態異常
本編記述の通り。
経験値
都合により割愛。
アイテムボックス・流浪の座
後者は異世界における呼び名。
個人への付属領域にして支配空間。意思によって接続する物品の保管庫。
各自が一定の種類と大きさまで物体を収納することができる。
その制限は種類=概念の数を納める空間と、重量は関係なく物体の占めるスペースの二種類。
異世界でも存在の規模が上がるほど個人が概念的に獲得する空間も広がると考えられており、強くなる=レベルが上がるほど詰め込める種類とサイズが増える。
ただし内部も通常空間と同様に空気と重力があり(よって開いて接続した際も真空や無重力などの通常空間との違いで大惨事にならない)、収納した品の鮮度や品質は外部と同様に劣化する。
持ち主が死亡すると消失もしくは支配力が解かれ、一部の品は何処とも知れぬ彼方に消えたり、通常空間に弾き出されて戦利品になったりする。
「世界を認識する力」の現れと捉えられており、証明として人間や亜人や魔族といった一定以上の知性を宿した生命体しか有さず、同様に、一定の知性とそれによるこの空間を併せ持つ存在を、他者のこれに入れることもできない。
双方の持つ空間はそれぞれ固有の領域であり、一方が他方を収納しようとすると物質のように衝突もしくは反発するためと考えられている。
これによって物品の運搬は現実世界より簡易になっているが、代わって魔物の存在が流通を圧迫し、手紙一つでも確実に届けようと思えば冒険者を介する必要がある(それでも場合により死亡して品ごと行方不明に)ため、現実のそれよりも歪な雇用や流通の市場が出来ている。
逆に言えば、レベルによる強化も手伝って軍隊規模の行軍などが速くなる面もあるかもしれない。
《感覚共有》
原則として迷宮の外部までは関知できない魔王に対し、プレイヤーが迷宮のそばに拠点を作って戦力と準備を大幅に整えてから大挙して雪崩れ込んでくる、という事態を防ぐための技能。
自身の作製した魔物であれば迷宮の内外どちらであろうと感覚を繋げ、情報収集やプレイヤーへの妨害活動を行う手段。
通常のプレイヤーの場合はテイムしたペットや召喚した対象に用いる。
有効な距離の問題がある他、魔物一体の視覚に意識を傾けると迷宮全体の警備が疎かになるため、本来であれば使う機会はあまりない。
襲撃コマンド
ダンジョン運営における最終手段の一つ。エピローグのアレ。
人が訪れなくなったダンジョンで間引かれず、一定以上まで増えた魔物を率いて軍勢として最寄の町を襲い、緊急強制の討伐クエストを発生させて戦い、あるいはダンジョンまでプレイヤーを呼び込む方法。
プレイヤーの少ない町ならそのまま落とせるが、通常の人類プレイヤーにとって拠点を落とされるのは勢力としてマイナスの他、交易、流通、街道に関するクエストなどに幅広く影響するため、基本的には防ぎ、また奪還すべきもの。
当然、他勢力の拠点を落とせば実行者にはボーナスが入る。
ただし、魔物の数を限界まで増やしてから好きに移動できるわけでもなく、力と支配の中心になっているダンジョン、その玉座や<邪悪の樹>からあまりに離れると支配が解けるなど、運営による制限付き。
異世界においてどうなるかは、実験不足につき不明。
各魔物や家畜、食材、アイテム、オカルト設定の詳細、元ネタ
恐らく各単語をコピペし、目の前の箱かスマート機器に聞いていただいた方が実際早い。申し訳ない。
軍人・冒険者
本編第15話の後書きに準じる。
登場人物 (どちらかというとキャラクター解説と後日談気味)
主人公 <迷宮の魔王>ハルキ=鷹風 晴樹
我らが主人公兼魔王様。
単純な性格面は、事情があって書くことがない。
迷宮キ○○イであり、その行動原理は<迷宮の魔王>としての専守防衛思考。
そこからティアや魔人と関わり、王国や勇者の動きの影響から受ける変化は、重要な要素の一つ。
典型的ボーイ・ミーツ・ガールの担い手であり、追われる民の救世主。
歴史の勝者たる人間、人類とは逆視点での、主人公という英雄。
その影響と功績、少女への救いは本編の通り。
倫理観はこちらでいうと現代人相応。
作中ではその辺りで様子見の姿勢が強く、また「殺さなければならないほど追い込まれることがない程に強い」という、魔王として強過ぎるが故に結果善良という逆パターンを構成した。
勝たねばならない、殺さねばならない王国側の方が遥かに悪役をしているのは、作者的に皮肉の一言。
どちらかといえば常識人。
ただし現実にはない「力」によって、通常なら曲がるところを曲げずに済んでいる英雄存在。
機会があれば女の子にちょっといいカッコをしてキャーキャー言われたいくらいの年齢や性格ではあるので、ティアに対する厚意・善意、そして好意の現れは、いくらか言動に出ている。
しかしそれが本人の想定より効き過ぎていることは、まだ知らない。
彼が現実世界への帰還を希望し、主体的にその手段を探ることは、作者の想定範囲にない。
失うものへの哀切は存在しながら、かつて幻想を切望したその熱量が、前者を超える。
その辺りは活動報告の裏話で語ることがあるかもしれない。
ヒロイン ティアリス=ミューリフォーゼ
愛称ティア。他にアリス、ミューリ、ティーゼ、尊称として姫、お嬢様など。
ハルキの前代魔王ソーロンの一人娘にして、彼を《召喚》した少女であり、必要から担ぎ上げられた魔人の姫。
魔王が慣習であって王権を持たず、従って国税で暮らす責任ある身分・王族でないにも拘らず、一族の未来を背に負った少女。
若干1×歳。
彼女の担った重責とその切っ掛けの絶望を思えば、潰れて逃げないだけ、高貴なる資質を持っていると思われる。
序盤で見せた凛々しさ、責任感が徐々に薄れ、やがて普通の少女性やコミカルさが覗き、自制していた感情や甘さが出てくるのは、その年齢によるところが大。
そしてその契機と程度は、主人公たるハルキがその力と在りようを見せ、彼女が肩に乗せた重荷を一つ一つ肩代わりして、解消するのに連動する。
白馬の王子様ならぬ、暗黒の魔王様に助けられるお姫様ポジション。
自ら進んでしたにせよ、一種族の滅亡を一人で背負った彼女にとって、《召喚》の時に抱いた想いは死に行く仲間を助け、そしてまた自らをも救ってくれる誰かへのものだった、のかもしれない。
優しさと甘さが、ギリギリ前者優先で混在している。
裏のある性格ではなく、基本的に真摯にひたむきで純真無垢。
作中のヒロインであり、その呼称を拡大した場合でも、彼女がいわゆるメインヒロインから転落することは、作者的にはノー。
コレル=コーレル
魔王ハルキの眷属その1。物理主体のディフェンダー。全身鎧と二つ盾。
元気勇気大元気。
単純明快、天真爛漫、活発系寂しがりや子犬属性。幼女、いや少女。
かつてゲーム内で使役されていた頃の記録を保持しており、故に自らを育ててくれた主に対し、熱烈な敬愛と親愛を抱いている。
第10話で発された「おとーさん」という呼称は、彼女の憧れだったのかもしれない。
彼女の存在が犬か娘かヒロインか、サブヒロインかは愛でる読者の心の中に。
実は純粋なノリだけで魔王を封殺できる貴重枠。
誠意にまさる悪意はなく、おまけに悪意もないのでまさに無敵。
短髪栗毛で茶色の瞳。
鎧を外すことは滅多にないが、その姿は、幼いながらも普通に美少女の範疇。
比較が「VRゲームでの普通」なので、実は容姿レベルはそこそこ高い。
コミカル元気なムードメーカー。
彼女が出るかどうかで作者の文体、地の文の比率すらも変てしまう恐ろしい娘。
視点のカメラが彼女に向いた瞬間、シリアスブレイクは始まる。
いるだけで場を明るくしてくれる彼女を、ハルキは決して嫌ってはいない。
デカラビア
魔王ハルキの眷属その2。魔法能力主体の後衛砲台。宙に浮くボール。
名前が卑猥。
しかし元ネタのないコレルと違い、実在の悪魔学を出典とする。
「このデカラビア」が一人称で自意識過剰に思えるが、コレルとの掛け合いはむしろ常識枠のそれ。
主に抱く忠誠は彼女に劣らない。
作者の脳内ではイケメンボイス。顔のないボールだが。
若干のウザさから全体的に不遇な扱いを受けるが、そのためにラストバトルでは華を飾った。
ハルキも普通に頼りにしている。
瞬間火力ならともかく、時間をかけた最大火力は武器開放した必殺に準ずる領域。
装備を持たない肉体に宿したスキル群は多種多様で、異世界的にも極めて高度な魔法生命。
コレルとのやり取りは、彼も楽しんでいるわけではないものの、ないならないで寂しさを感じる、日課のようなものである。
グラン=ダグラス
ティア付きの執事。老練ダンディ。
ティアを補佐して実務の多くを担っているが、影に控えるその功績は表に出にくい。
元は前代魔王ソーロンに見出された人材で、娘の側につけたことからも信頼がうかがえる。
魔人の利益とティアの安全を半々で考える姿勢は徹底していて、必要な場合は憎まれ役を買って注意を引くことまで計算して振る舞っていた。
おおよそ分かる通りティアの護衛も兼ねており、ハルキに対する態度の大部分はそれに起因する。
嘆願の話であっさり自分を差し出そうとしたティアへの制止などは典型例。
それでも七日目にしてある程度の信頼を勝ち取り、態度を軟化せしめたのは、偏にハルキの存在の大きさによった。
しかし彼が真に敬愛した<魔王>は先代ただ一人。
故の7日目に見せた怒りであり、今回もっとも割を食った一人でもある。
ただし勇者およびフェンリル戦に参加した場合、最も高確率で死んでいたのはメタ的にも本当。
小悪魔
迷宮の生産部門担当。お助けマスコットキャラにして目の保養。
個体差はあるが若干ロリい。
顔と衣装はほぼ同じで、髪の色や長さ、髪留め、胸のサイズなどで判別可能。
迷宮の生産を一手に担う性質上、系統の異なる複数のクラスを同時に持つことが多い。
ハルキの下にいるのは赤青緑桃紫の5人で、登場回で描写されている通り、建物の内容に対して「白」が欠けている。
一人称は基本的に「ワタシ」で、ハルキへの敬称は「さま」。
愛称はハルキのつけた迷宮の中核であり、ブラック企業顔負けの作業に対して彼女らが逃げないのは、与えられる報酬に加え、その矜持があるからなのかもしれない。
赤
たまに熱くなるリーダー系小悪魔。
担当は<道具屋>。
正確には生産ではなく流通・販売に属し、通常のアイテムや生産設備、素材などの売買を行う。
武器などに限定しない、最も幅広い《鑑定》技能持ち。
本編では描写されていないが、家具のように生成できない魔人の衣類は、そのほとんどを彼女が卸した。
職業傾向:商売人、店主など。
スキル:《鑑定》、《道具知識》、《魅力》他。
青
クール系知的冷静キャラ。ただしテンパると弱い。
担当は<錬金術>。特殊効果や魔法的要素を伴う物品を担当。
職業傾向:錬金術師、魔女、呪術医など。
スキル:《錬金術》、《呪物作製》、《ウィッチクラフト》、《ハーバル・マジック》他。
緑
体育会系快活素直。ショートカット。
担当は<食糧>。
職業傾向:農耕者、料理人など。
スキル:《開拓》、《収穫術》、《畜産術》、《緑の雨》、《ココペリの縦笛》、《ハイヌウェレの舞》他
桃
天然系舌足らず。低身長お色気お姉さん。ボブカット。
担当は<武器屋>。実際には防具屋も兼ねて装備品の修理・強化も行う。
職業傾向:武器職人、防具職人、封魔具士など。
スキル:《装備鑑定》、《装備強化》、《匠の業》、《砥ぎ》、《ゴブニュの三槌》他。
紫
電波系不思議ちゃん。恐いもの知らず。
担当は<交換屋>。
魔法的な装備の作製とは異なる、装備品にルーンを刻んで効果を付与したり、道具を《祝福》する作業も兼ねる。
聖水など、通常の素材のみにスキルを加えて生産する特殊アイテムも作製。
職業傾向:占星術師、幸運の星、刻印士など。
スキル:《祝福》、《幸運付与》、《刻印》他。
勇者一行
本作の「m9(^Д^)」枠その2。
展開的不遇とフラグに襲われ、残念なことに旗を折るには補正と実力が不足していた。
主人公性も足りなかったかもしれない。
解放された後は死した暗殺者、タントラの縁者にそのことを伝えて解散。
王国にある程度の落とし前をつけさせた後で出国して野に下り、各自がそれぞれの暮らしや、新たな冒険を始めた。
なお、最も活発に動いているのは勇者メルリーウィとの噂。
2人目の魔王に敗れはしたが、その実力に疑いはなく、大陸最高峰の戦力と縁が切れ、人材が他国に散ったことは、王国にとって間違いなく痛手。
勇者 メルリーウィ=テスラ・アナスタシア
才能と意思の塊。
元は貴族の家に生まれながら事情と己の適正を考えて出奔し、以降はひたすら在野の人となる。
冒険者として名を上げるまで、実家からは「いない子供」扱いだった。
そのため正確な年齢は不明だが、十八から二十歳頃と言われている。
自由奔放の性が強く、自身の強さ、才能の原石を鍛え抜くことを第一としていた。
魔王ソーロンを倒して勇者にまでなったことから、その認識に誤りはない。
彼女の根底にあったのは、溢れる天賦の才による「いつか最強に届く」自覚。
敗北を知らないわけではなく、むしろその度により強くなる道を模索し、積み上げた地獄で自らを鍛え、結果として負ける相手の方が少なくなった。
大陸最強<光の勇者>とも交戦経験があり、手酷く負けた後、彼女は遥か年長の相手に「10年以内に追いつく」というセリフを発している。
勇者として生まれた聖性ではなく、自ら勇者となった、正邪を踏み越える力強さ。
そんな彼女に対し、自らを極めても勝てる未来の浮かばない敗北、という絶望を与えたのは、大陸でハルキが初となる。
勇者パーティーのその他
各自が第一級の才人であり、また経験に裏打ちされた練達の武人。
惜しむらくは、当然ながら魔王自体との正規の交戦経験の不足、そして王国兵では収集できなかった魔王ハルキの実力と情報。
儀式魔法の使用は最適解だったが、そのせいで生まれた魔王本人の強さとのギャップが、多少は彼らの油断を生んだのかもしれない。
実際のところ、メンバーの全員が揃って時間をかければ、ソーロン没後の魔人なら絶滅させ得るだけの力はあった。
一度に全てを相手にするならともかく、各拠点の各個撃破や誘い出しに徹するならば、確実に可能。
だからこそ王国が彼らを用い、そして一部が使い潰すと決めたともいえる。




