頭痛(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「頭痛」です。
昨日の夜から激しい頭痛に見舞われて眠れなかったので、我慢し切れずに病院に行った。
待っていて無駄にした時間を返して欲しいと思ってしまうので、ずっと病院に行った事がなかった。
その日もやはり待たされた。
患者はそれ程いるとは思えないのに全然呼ばれない。
帰ろうかと思った時、やっと私の番が来た。
「どうしましたか?」
医者は愛想笑いの一つもする事なく仏頂面でそう言った。
私は被っていた帽子を取るなり、
「昨日から頭痛が酷くて治まらないんです」
すると医者と看護師が真っ青な顔になり、ギャッと叫んで診察室から出て行ってしまった。
何て失礼な奴らだ。
む? この部屋は暑いのかな? 汗が垂れて来たぞ。
ポケットのハンカチで頭を拭った。するとハンカチが真っ赤に染まった。
その時思い出した。
世を儚んで昨日の夜にピストル自殺した事を。
相変わらずそそっかしい性格は直らないな。
そりゃあ、頭が痛い訳だ。
得心がいき、医者達に対する怒りも解けた。
お粗末さまでありました。