1.エリカ
『無邪気な殺戮者』
1.エリカ ♀ Lv.90
特徴:怪力 無垢 放浪癖
不思議っ子。無邪気。蔭。レイディアの膝枕がお気に入り。普段は食っちゃ寝食っちゃ寝良い御身分。放浪癖があり、よく出奔する。手ぶらで。前触れもなく消え、あっちにふらふら、こっちにふらふら。お腹がすいたら帰ってくる、の繰り返し。年齢不詳。
蔭の長を除けば肉弾戦では一番強い。基本的に武器は使わない。使えるけど使わない。荷物になるから。
邪魔なものは邪魔。さっさとどかすに限る。向かってくるものもぽいっとほかる。食事と睡眠の邪魔する者は万死に値する。無垢さ故に手加減を知らない…ように見える。ただし、敵の拷問も受け持ったりしてるので、しようと思えば手加減が出来るのだろうと思われる。
美味しいご飯とレイディアがあれば無害なでっかい仔猫になります。ん~ごろごろ。
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~“ディーアちゃん”の愛称~
レイディアがフォーリー女官長の屋敷に滞在して暫く経った頃、使用人に勧められて庭を散策していると、綺麗に整えられた低木の茂みの中から小柄な人影が転がり出てきた。
「あ、ねぇねぇもしかして巫女姫さま?」
「………」
しゃがみこんだままの彼女と目が合ったかと思うといきなり問いかけられた。驚いた経験の少ないレイディアは反応に困った。そもそも彼女が何処の者か分からないので、迂闊に答えられない。
「……貴女は?」
「エリカ? エリカはエリカっていうの。エリカって呼んで。巫女姫さまのお名前は?」
人懐っこい言動や表情は幼いが、エリカには不思議と幼い印象は受けなかった。少女とも、女性ともとれる容姿…年齢が分からない。なんとも不思議な雰囲気を持つ女性だ。
「……レイディア、と」
彼女からは悪意は感じなかったので、彼女の目線に合わせてレイディアもしゃがみこむ。レイディアが綺麗に裾を膝裏に畳み込む様を見て、エリカは何故か嬉しそうに笑った。
「じゃあ、ディーアちゃんだっ」
「…え?」
「馬鹿言ってんじゃないわっ!」
目を点にしたレイディアの耳には、つい最近覚えた声が聞こえた。エリカが飛び出してきたのと同じ方向からソネットが飛んできた。遠目に様子を窺っていたのだろうか。
「あんたね、レイディア様になんてこと言うの!」
ソネットの眉がつり上がっている。
「えー?」
「エリカがのうたりんなのはいつものことだけどっ。ちゃん付けはいくらなんでも不敬罪…」
「構いませんよ」
ソネットの捲し立てに割り込んだのはレイディア。ソネットは不思議そうな顔を向ける。
「どうぞお好きに」
「ほらぁディーアちゃんも良いって言ってるじゃん」
本人に了承を得たエリカは得意げにソネットに胸を張る。
「…いいのですか?」
始めから気さくな態度で接したソネットだったが、流石に馴れ馴れしい呼び方には抵抗を感じたのだろう。けれどレイディアは無礼とは感じなかった。今の自分は巫女と敬われる立場でもない。
「ええ。これからよろしくお願いしますね…エリカ」
レイディアはそっと手を伸ばす。
交わした握手をまじまじとエリカは見つめた後、満面の笑みを見せた。